「最低3年は続けなさい」

先輩から言われた。親にも言われた。転職サイトにもそう書いてあった。

でも——あと2年もここにいられる気がしない。

毎朝、出勤するのがつらい。人間関係がしんどい。給料が生活に見合わない。それでも「3年は続けろ」という言葉が頭から離れなくて、動けなくなっている人がいると思う。

この記事は、その「3年神話」を数字で検証する。感情論じゃなく、データで。


まずデータを見てみる

保育士の離職・転職に関する数字を整理する。

指標 数値 出典
保育士の平均勤続年数 7.7年 厚労省・賃金構造基本統計調査
保育士全体の離職率 9.3% 厚労省・保育士等の現状
私立保育園の離職率 10.7% 同上
公立保育園の離職率 5.9% 同上
保育士の有効求人倍率 約2〜3倍 ハローワーク統計
🐻 クマオ
「有効求人倍率が2〜3倍……ということは、保育士1人に対して求人が2〜3件あるってこと?」

そういうことだ。保育士は圧倒的に売り手市場。辞めたら次が見つからない——という時代ではない。


「3年続けろ」に根拠はあるか

結論から言うと、「3年」に明確な根拠はない。

「石の上にも三年」は、仕事のスキルが身につくまでに3年くらいかかるという経験則だ。一般企業ではある程度当てはまる場合もある。

でも保育士の場合、状況が違う。

理由1:保育士は資格職

国家資格を持っている。スキルは転職先に持ち越せる。一般企業の「3年でやっとOJTが完了する」という話とは前提が違う。

理由2:慢性的な人手不足

保育士の有効求人倍率は全国平均で2〜3倍。「短期離職した保育士は採用されない」というのは、人手が余っている業界の話。保育業界には当てはまらない。

理由3:1年目の経験でも評価される

保育園で1年間働いた経験は、子どもとの関わり・保護者対応・書類作成・行事運営と、幅広いスキルの証明になる。「1年しか経験がない」ではなく「1年間の現場経験がある」と捉える園は多い。

👩‍🏫 先生
「正直に言うと、面接で『1年で辞めた理由』は聞かれる。でも合理的な理由があれば問題にならないケースがほとんど。保育業界は人が足りていないから、『来てくれるだけでありがたい』という園が多い」

1年未満で辞めた場合のリアル

とはいえ、1年未満の退職にはデメリットもある。正直に書く。

面接で聞かれること:
- 「なぜ1年で辞めたのですか?」
- 「次の園では長く働けますか?」

対処法:
- 退職理由を具体的かつ前向きに説明する
- 「保育方針が合わなかった」「通勤時間を改善したかった」「より子どもに向き合える環境を探している」——こういった理由は面接官も理解しやすい
- 「人間関係が嫌だった」だけだと、「うちでも同じことが起きるのでは」と思われる。何が合わなかったのか、次はどういう環境を求めているのかをセットで伝える

🐰 ピョンちゃん
「『給料が低かった』って正直に言ってもいいの?」

言い方次第。「前の園は処遇改善加算の配分が少なかった。次は制度が充実している園で働きたい」——こう伝えると、給与への不満ではなく制度理解の深さが伝わる。


ただし「辞め癖」のリスクも

1年未満の退職を繰り返すと、さすがに評価に影響する。

  • 1回目の短期離職 → 「合わなかったのね」で済む
  • 2回目 → 「ちょっと気になるな」
  • 3回目 → 「うちでも同じじゃない?」
👩‍🏫 先生
「短期離職そのものが問題なんじゃなくて、毎回同じ理由で辞めていることが問題。『人間関係で辞めた→次も人間関係で辞めた→また人間関係で辞めた』だと、環境の問題じゃなくて自分のコミュニケーションの課題かもしれない、と見られてしまう」

だから、1回目の転職は「合う園を見つけるチャンス」として活かす。次は長く働ける園を、条件をちゃんと確認してから選ぶ。そのために転職エージェントを使う。


辞めるべきケース vs もう少し頑張るべきケース

辞めるべきケース

  • パワハラ・いじめがある — 証拠を残して早く離れる
  • サービス残業が常態化している — 違法。改善の見込みがなければ転職
  • 体調を崩している — 心身の健康より優先すべき仕事はない
  • 給与が最低賃金に近い — 処遇改善加算が配分されていない園にいる理由がない

もう少し頑張ってみてもいいケース

  • 仕事が覚えられなくて不安 — 1年目は全員そう。3ヶ月目で「できない」と感じるのは正常
  • 子どもとの関わりにやりがいを感じる瞬間がある — その気持ちが残っているなら、環境を変えるだけで好転する可能性
  • 先輩に1人でも信頼できる人がいる — 相談できる存在がいると持ちこたえられる
🐻 クマオ
「体調を崩しているケースは、3年とか関係なく辞めていい。いや、辞めるべきだ。それは甘えじゃない」

まとめ

  • 「3年続けろ」に科学的根拠はない。経験則であり、保育士の労働市場には当てはまらない
  • 保育士は売り手市場。有効求人倍率2〜3倍。1年で辞めても次はある
  • 短期離職は1回なら問題にならないケースが多い。理由を前向きに説明できれば大丈夫
  • ただし辞め癖は避ける。次こそ長く働ける園を、ちゃんと選ぶ
  • 体調を崩しているなら、今すぐ辞めていい。3年待つ必要はない

次の一歩

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P.S.
「3年は続けなさい」と言った人は、たぶん悪意はない。でもその言葉で動けなくなっている人がいるなら、この記事がものさしになればいい。