保育士が転職を考えるきっかけ上位5つ|あなたの職場は普通?それとも異常?

2026年4月 ・ 読了5分 広告を含みます

この記事は2026年4月時点の情報をもとにしています。

結論:保育士が転職を考えるきっかけの上位5つは、人間関係・給与・労働時間・保育方針・体力です。この5つを基準に外の職場と比べると、自分の職場が「普通」か「異常」かが見えてきます。(2026年4月時点)

更衣室で同僚のため息を聞きながら、「これって、うちだけなのかな」と思ったことはありませんか。

「これって、どこの保育園でも同じなのかな」。そう思いながら今日も出勤している人は、少なくないはずです。

私自身、若いころに勤めた園の人間関係がしんどくて、でも「保育士なんてこんなもの」と思い込んで、ずっと飲み込んでいた時期がありました。

基準を持っていなかったんです。ここが普通なのか、異常なのか。それを測るものさしが、自分の中になかった。

だから今回は、データを使ってそのものさしを作ります。東京都が実施した保育士実態調査をもとに、転職を考えるきっかけの上位5つを整理します。

「どうせ自分には関係ない」と流し読みしたい日もあると思います。でもこの記事は、「なんだか自分の職場、変かもしれない」と少しでも感じている人に向けて書きます。


きっかけ1位:人間関係の悩み(33.5%)

3人に1人以上。これが正直な数字です。

実際に保育士を辞めた人のうち、東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査 結果の概要<中間のまとめ>」によれば「職場の人間関係」を理由に挙げた割合は33.5%。3人に1人以上が、人間関係が理由で保育士を辞めている計算になります。

保育の現場の人間関係は複雑です。園長、主任、同僚の先生、保護者。全部が同時に進みます。どれかひとつがこじれれば、毎日の仕事全体が重くなります。

👩
保育士Aさん
「主任の先生に何を言っても否定される。でも他の園もこんな感じなのかと思うと、転職しても変わらない気がして……」

その「どこも同じかも」という感覚は、すごく分かります。でもそれは、多くの場合、思い込みです。

人間関係の質は、職場によって本当に大きく変わります。私も別の園を見て初めて、「こんな職場もあるのか」と驚いた経験があります。それまでは「保育士の職場はこんなもの」と信じていたからです。

「先輩が怖い」「同僚と価値観が合わない」「保護者対応で消耗する」。これらが毎日続いているなら、それは個人の問題ではありません。職場環境の問題です。


きっかけ2位:給与への不満(29.2%〜61.6%)

実際に保育士を辞めた人のうち「給料が安い」を理由に挙げた割合は29.2%(前出の東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査 結果の概要<中間のまとめ>」)。今も働きながら「退職したい」と感じている保育士に絞ると、東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査 結果の概要」(令和4年度)では61.6%が「給料が安い」を退職したい理由に挙げています。

関東で働く保育士にとって、給与の問題は切実です。

保育士の平均給与(月収換算)は、こども家庭庁「保育士・幼稚園教諭等の処遇改善」(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく集計)によれば、全産業平均より約5.7万円低い水準が続いています(令和6年データ)。しかもこの月収には残業代を含む現金給与額が使われており、基本給だけで見ると、さらに低くなります。

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保育士Bさん
「手取り17万円で都内一人暮らし。毎月カツカツで、貯金なんて全然できない。こんなに子どもが好きでこの仕事を選んだのに」

月17万円。年収に換算して204万円。Bさんのような手取り額は、関東で一人暮らしをしている保育士から実際に聞くことがあります。

「好きな仕事だから」と我慢するのは、美しい話ではありません。持続できないからです。

給与は、我慢するものでも、一人で交渉し続けるものでもありません。職場を変えることで、変えられる条件の一つです。


きっかけ3位:労働時間への不満(24.9%)

持ち帰り仕事、日常的な残業、書類作業。これらが「当たり前」になっている職場は、少なくありません。実際に保育士を辞めた人のうち、前出の東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査 結果の概要<中間のまとめ>」で「労働時間が長い」を理由に挙げた割合は24.9%です。

でも「保育士はこういうもの」という思い込みは、実態とズレています。

持ち帰り残業がゼロの職場も、ちゃんとあります。書類作業を勤務時間内に終わらせる仕組みを作っている園も、あります。

🧑
保育士Bさん
「昨日も持ち帰り仕事で23時まで作業してた。これ、法律的には普通なの……?」

普通ではありません。厚生労働省「賃金不払残業の解消に向けた取組について」にある通り、サービス残業(賃金不払残業)は労働基準法に違反する、あってはならないものです。

慣れてしまうと、それが基準になります。「みんなそうだから」という空気の中で、おかしさが見えなくなる。東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査 結果の概要」(令和4年度)では、「仕事量が多い」を退職したい理由に挙げた保育士は54%にのぼります。半数以上が、同じ状況の中にいます。

持ち帰りやサービス残業が続いているなら、まず記録を残すことから始められます。やり方は保育士のサービス残業・記録の残し方にまとめました。


きっかけ4位:保育方針が合わない

これは給与や人間関係より、静かで根が深い問題だと思います。

「自分が理想とする保育ができない」という感覚は、数字に出てきません。「なんだかモヤモヤする」「子どもに申し訳ない気がする」という形で、じわじわ積み重なっていきます。

👩
保育士Cさん
「ビルの8階で、園庭もない。子どもたちが外で思い切り走れる環境を作ってあげたい。でもここではそれができない」

保育の仕事を選んだ理由、子どもの成長に関わりたい、豊かな保育環境を作りたい、そういう原点から遠ざかっていると感じているなら、それはサインです。

保育方針は、個人の力でどうにかできるものではありません。園を変えることで、変えられます。


きっかけ5位:体力的な限界

保育士の仕事は、頭だけでなく体も使います。子どもを抱く、床に座る、外で動く、走り回る子を追いかける。

「疲れが取れない」「休日に動けない」という状態が続いているなら、体が限界に近いサインです。意志の問題ではありません。環境と仕組みの問題です。

40代・50代になっても保育士として働き続けている人はいます。体のサインを「甘え」で片付けずに、仕組みとして解決できる職場を探すことが先になります。


「異常な環境に慣れた」だけかもしれない

何年かに一度、担任の先生が入れ替わる園があるのは、決して珍しいことではありません。

👩
保育士Aさん
「先生が数年おきに入れ替わる園があるってことだよな。それって普通じゃないよな」

そうです。普通ではありません。

でも「この職場に長くいると、その感覚が分からなくなる」というのが、一番こわいところだと思います。慣れてしまうと感覚がズレる。それは、誰のせいでもありません。

ただ、基準を知ると、判断できるようになります。

あなたが感じている疑問は、特別でも、弱さでもありません。3人に1人が、同じことを考えながら働いています。


転職を「考える」のと「動く」のは別の話

この記事を読んで「そうだったのか」と思ったとしても、すぐに転職する必要はありません。

まず、自分の職場が普通かどうかを知ること。次に、他の職場の実態を知ること。そのあとで、動くかどうかを判断すればいいと思います。

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保育士の転職きっかけに関するFAQ

保育士が転職を考えるきっかけで一番多い理由は?

人間関係の悩みが33.5%で1位、給与への不満29.2%、労働時間の長さ24.9%が続きます。

東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査 結果の概要<中間のまとめ>」では、実際に保育士を辞めた理由として人間関係の悩み(33.5%)が最も多く、次いで給与への不満(29.2%)、労働時間の長さ(24.9%)、保育方針が合わない、体力的限界と続きます。3人に1人以上が人間関係を理由に保育士を辞めている計算です。

東京都の保育士は給与不満で辞める人が多いって本当?

東京都の調査では、現職の保育士が退職したい理由「給料が安い」が61.6%にのぼります。

実際に保育士を辞めた人に絞ると「給料が安い」は29.2%ですが、東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査 結果の概要」(令和4年度)で今も働きながら「退職したい」と感じている保育士に絞ると、61.6%が「給料が安い」を理由に挙げています。関東の家賃水準と保育士の給与水準のギャップが大きいことが背景にあります。

持ち帰り仕事は保育士の仕事として普通なの?

違法です。サービス残業ゼロの職場も実際にあり、慣れてしまう前に基準を疑うべきです。

厚生労働省「賃金不払残業の解消に向けた取組について」にある通り、サービス残業(賃金不払残業)は労働基準法に違反します。「保育士はこういうもの」という思い込みは実態とズレています。東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査 結果の概要」(令和4年度)では54%が「仕事量が多い」を退職したい理由に挙げる一方、持ち帰り残業ゼロ・書類を勤務時間内で終わらせる仕組みのある園もあります。慣れる前に基準を疑うべきです。

保育方針が合わないという悩みはわがままですか?

わがままではありません。給与や人間関係より静かで根が深い、転職検討に値する問題です。

「自分が理想とする保育ができない」という感覚は数字に出にくいですが、給与や人間関係より静かで深い問題です。保育方針は個人の力で変えられるものではなく、園を変えることでしか解決しません。原点から遠ざかっていればサインです。

「保育士はみんなこんなもの」と感じるのは正しい?

それは思い込みです。職場によって人間関係・労働時間・給与の質は本当に大きく変わります。

1〜2園しか経験していない人ほど「どこも同じ」と感じがちですが、人間関係の質・労働時間・給与水準は園によって本当に大きく変わります。別の地域への転職で「こんな職場もあるのか」と驚く声も多く、基準は外で測るべきです。