「こども誰でも通園制度」で保育士の仕事はどう変わる?——2026年度本格実施を解説
「来年度から、うちの園でも『誰でも通園』が始まるらしい」
職員会議でそう聞いたとき、正直なところ「また仕事が増えるのか」と思った人は多いんじゃないだろうか。
「こども誰でも通園制度」——名前は聞いたことがあっても、具体的に何がどう変わるのか分からない。自分の業務にどう影響するのか、人員は増えるのか、準備は何をすればいいのか。
この記事では、保育士の立場から「実際に何が変わるのか」を整理する。
制度の概要——何が始まるのか
「こども誰でも通園制度」は、親の就労状況に関係なく、未就園の子どもが保育園等を利用できる制度だ。
これまで
保育園を利用するには、「保育の必要性」の認定が必要だった。つまり、親が働いている・病気で育児ができない等の理由がないと、保育園に入れなかった。
これから
親が働いていなくても、すべての子どもが保育園を利用できるようになる。一時預かりに近いが、定期的な利用も可能。
🐱 にゃーこ
「つまり、専業主婦の家庭の子どもも保育園に来るってこと?今までとは全然違う層の子どもを受け入れることになる」
2026年度からの変更点
2023年度からモデル事業として試行されていたこの制度が、2026年度から本格実施に移行する。
主な変更点:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 0〜2歳の未就園児(3歳以上は幼稚園・保育園の既存制度で対応) |
| 利用時間 | 月10時間を上限とする方向で調整中 |
| 利用料 | 一定の自己負担あり(金額は自治体により異なる) |
| 実施主体 | 市区町村(認可保育園・認定こども園・地域型保育等に委託) |
🐻 クマオ
「月10時間……週に2〜3時間くらいか。思ったより短いな」
時間としては短い。でも現場への影響は時間の長さだけでは測れない。
保育士にとって何が変わるか
1. 新しい子どもを定期的に受け入れる業務が増える
在園児とは別に、定期的に新しい子どもが来る。名前・アレルギー・家庭環境——毎回、初対面の子どもの情報を把握する必要がある。
🐱 にゃーこ
「在園児の保育だけでも手一杯なのに、毎週知らない子どもが来るとなると、正直きつい……」
2. 保護者の層が変わる
これまでの保育園利用者は「共働き」が前提だった。新制度では専業主婦世帯も来る。保護者の背景や期待値が多様になる。
「一時的に預けたい」だけの保護者と、「子どもの発達を見てほしい」という保護者では、求められる対応が違う。
3. 記録・書類が増える
利用者ごとの記録、アレルギー対応、保護者への報告——短時間の利用であっても、記録業務は発生する。
4. 心理的な負担
初めて来る子どもは泣くことが多い。慣れない環境で不安な子どもをケアしながら、在園児の保育も並行する。心理的な負担は大きい。
75%の保育士が「不安」と回答
ある調査で、保育士の約75%が「こども誰でも通園制度に不安がある」と回答している。
不安の内容は:
- 人手が足りない(最多)
- 受け入れ体制が整っていない
- 初対面の子どもの安全管理が心配
- 在園児の保育の質が下がる
- 書類業務が増える
👩🏫 先生
「不安を感じていること自体は正常な反応。問題は、その不安に対して園がどう準備するか。人員の確保、受け入れマニュアルの整備、業務の効率化——これらを園が主導しないと、現場の保育士が潰れてしまう」
現場が今から準備できること
1. 受け入れフローを園で決めておく
- 利用登録時に何を確認するか(アレルギー、既往歴、緊急連絡先)
- 当日の受け入れ手順(誰が担当するか、在園児との関わり方)
- トラブル時の対応(泣き止まない、体調急変)
2. 記録テンプレートを作る
利用者ごとの記録を効率的に取るためのテンプレートを用意する。コドモン等のICTツールに項目を追加できるなら、デジタル化しておく。
3. 園内で共有・相談する
制度への不安は一人で抱え込まない。職員会議で「実際にどう対応するか」を話し合っておく。
🐻 クマオ
「園がちゃんと準備してくれるならいいけど、『現場で何とかして』と丸投げされたらきついな……」
この制度をきっかけに、環境を見直す
新制度の導入は、園の姿勢が見えるタイミングでもある。
- 人員を増やして対応する園
- 現場に丸投げする園
- そもそも制度への対応を後回しにする園
「うちの園は大丈夫だろうか」と不安を感じたなら、他の園の対応状況をエージェント経由で聞いてみるのも一つの方法だ。
まとめ
- 「こども誰でも通園制度」は2026年度から本格実施
- 親の就労状況に関係なく、0〜2歳の未就園児が保育園を利用できる
- 保育士には新たな業務負担が発生する(受け入れ・記録・心理的負担)
- 75%の保育士が不安を感じている。人手不足が最大の懸念
- 園の準備体制が、現場の負担を左右する
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P.S.
新しい制度が始まるたびに、現場が振り回される——という構図は保育業界の慢性的な課題だ。でも、制度の変わり目は「自分の働く場所を見直すタイミング」でもある。不安を感じているなら、その感覚は正しい。