保育士ボーナス事情2026|公立vs私立で100万円差?手取りの真実
「ボーナス、出た?」
その一言が、どうしても聞けない日があった。
同期と年末に会う約束をしていた年のことだ。相手は公立保育士。私は私立の認可園。学生時代は同じクラスで、同じ実習先で、同じ試験を受けた。資格も同じ、経験年数も同じ、やっている仕事もだいたい同じ。
それなのに、冬のボーナスの金額を聞くのが怖くなってしまった。
冒頭:「ボーナス出た?」と聞けなかった日の話
結局その日、私はボーナスの話題を避けて、クリスマスケーキの話ばかりしていた。帰り道に一人でコンビニに寄って、カフェオレを買いながら「なんで聞けへんかったんやろ」って考えた。
答えは単純だ。自分のほうが少ないと知るのが怖かった。
保育士の世界では、公立と私立でボーナスにかなりの差があるというのは、業界の中では周知の事実だ。でも、実際にいくら違うのかはあまり表に出てこない。求人票に書いてあるのは「賞与年2回」とか「2〜3ヶ月分」とか、そのレベル。
このあと、職場のBさんがまさに同じ悩みで私に相談してきた話と、その後彼がどう動いたかも含めて、ボーナスの実態を整理していく。
公立保育士のボーナス平均(2026年版)
まず、公立保育士のボーナスの仕組みから。
公立保育士は地方公務員だ。だから給料もボーナスも、自治体の条例と、国の人事院勧告をベースにした地方公務員の俸給表で決まる。個人の交渉や園の経営状況で変わったりはしない。
2026年時点での公立保育士ボーナスの目安
2026年時点の一般的な水準として、公立保育士のボーナスはおおよそこんな感じになる。
- 支給月数: 年間4.3〜4.5ヶ月分(6月・12月の2回払い)
- 平均ボーナス年額: 80万〜130万円前後(勤続年数・自治体による)
- 新卒1年目(6月): 満額支給されない(勤続期間で按分)
人事院勧告は毎年夏に出るので、微妙に上下する年もある。でも、基本的には4ヶ月を切ることはほとんどない。これが公立の安定感だ。
勤続年数で上がる
公立保育士のボーナスは、「基本給 × 支給月数」で決まる。基本給は俸給表で決まっていて、毎年1号俸ずつ上がっていく仕組み。だから長く勤めれば勤めるほどボーナスも上がる。
私の同期(公立・勤続8年目)の冬のボーナスは、手取りで45万円前後だったと聞いたことがある。夏と合わせて年間100万円を超える。
これが、私が「聞けなかった」理由だ。
私立保育士のボーナス平均と園によるばらつき
次に、私立保育士のボーナス。ここが一番複雑で、かつ大事なところ。
支給月数の幅が広すぎる
私立保育園の賞与は、園ごとに全然違う。求人票でよく見る表現で分類するとこうなる。
| 支給月数 | 園のタイプ |
|---|---|
| 4〜5ヶ月分 | 社会福祉法人系の老舗・大手法人の基幹園 |
| 3〜4ヶ月分 | 中堅の認可保育所・処遇改善加算をしっかり反映している園 |
| 2〜3ヶ月分 | 小規模認可・新興の保育株式会社 |
| 1〜2ヶ月分 | 認可外・企業主導型の一部 |
| 寸志(10万円以下) | 企業内保育・ごく一部の小規模認可外 |
2026年時点での私立保育士のボーナス平均年額は、おおよそ45万〜85万円の幅に収まる園がほとんどだ。公立の80〜130万円と比べると、中央値で30〜50万円の差がある。
同じ私立でもここまで違う
ここが私立の怖いところで、同じ「認可保育所」と書いてあっても、運営母体によってボーナス設計が全然違う。
100万円差の内訳
「公立vs私立で100万円差」という言葉、業界ではよく言われる。これ、盛ってる話じゃなくて、ケースによっては本当にそれくらい開く。
内訳を分解していくと、差が生まれる理由がよく見える。
1. 基本給の差
ボーナスの計算ベースになるのが基本給だ。
- 公立保育士(勤続5〜7年): 月給24万〜27万円前後(地域手当除く)
- 私立保育士(勤続5〜7年): 月給22万〜24万円前後
月給ベースで2〜3万円の差がある。これが賞与計算のベースになるので、支給月数が同じでも、金額差はさらに広がる。
2. 支給月数の差
- 公立:年間4.3〜4.5ヶ月分
- 私立中央値:年間2.8〜3.2ヶ月分
月数だけで1.5ヶ月前後の差。基本給24万円で計算すると、1.5ヶ月分=36万円の差がここで生まれる。
3. 地域手当の有無
公立保育士は、東京都特別区・政令指定都市・県庁所在地クラスで「地域手当」が基本給に上乗せされる。東京23区なら基本給の20%が上乗せされるケースもある。この地域手当はボーナス計算にも反映される。
私立にも地域手当がある園はあるけど、ボーナスの計算ベースに含めているかどうかは園次第。求人票の「基本給」と「ボーナス計算対象」を切り分けて確認しないと、実際の支給額はまったく読めない。
足し算してみる
| 項目 | 差額(年間) |
|---|---|
| 基本給ベースの差(2万円 × 12ヶ月) | 24万円 |
| ボーナス月数の差(1.5ヶ月 × 24万円) | 36万円 |
| 地域手当のボーナス反映分 | 15万〜40万円 |
| 年収ベースの差(合計) | 75万〜100万円 |
「100万円差」という表現は、決して大げさじゃなかった。むしろ、地域手当が厚い自治体と、賞与2ヶ月の私立で比較すると、120万円近く開く場合もある。
私立でもボーナスが高い園の特徴
ここまで読んで「じゃあ私立は諦めるしかないんか」と思った人、待ってほしい。
私立でも公立並み、あるいは近い水準のボーナスを出している園はある。見分け方がある。
1. 社会福祉法人系の老舗
30年以上続いている社会福祉法人の保育園は、経営が安定していて、ボーナス4ヶ月分以上を出しているところが多い。理由は単純で、公立と比較されやすいので、人材確保のために公立に寄せてきた歴史がある。
求人票だけ見てもわからないので、法人名で検索して沿革を確認するのが早い。「昭和◯年設立」と書いてあれば、まず老舗。
2. 大手法人・園ブランドを持っている運営母体
首都圏を中心に複数園を運営している大手保育株式会社の中には、処遇改善加算IIとIIIをしっかり職員還元に回している法人がある。ブランドで人材を集めるためにも、ボーナス水準を落とさない経営判断をしているところが多い。
ただし、大手の中にも「運営効率優先」で賞与2ヶ月以下のところもある。大手だから安心、という考え方は危険。
3. 処遇改善加算II・III活用が徹底している園
2025年度に処遇改善加算の仕組みが一本化されたけど、その運用は園ごとに違う。
- 加算分を月給に反映する園
- 加算分を賞与に上乗せする園
- 加算分を「手当」として別枠にする園
ボーナスで受け取りたいなら、賞与上乗せタイプの園を選ぶ必要がある。これは面接で直接聞いていい項目だ。
4. 求人票に「賞与実績◯ヶ月」と書いてある園
「賞与年2回」だけの記載は要注意。月数を明記していない園は、支給月数が少ない傾向がある。
「賞与4ヶ月分(2025年実績)」のように、年と月数を具体的に書いている園は、それだけで誠実だ。
「ボーナスだけで判断しない」視点(年収総額で見る)
ここで一旦、冷静になってほしい話をする。
ボーナスの金額で一喜一憂するのは自然な感覚だけど、転職判断の軸は「年収総額」で見たほうがいい。
月給 × 12 + 賞与 = 年収
公立と私立で比較するときも、この式で見る。すると、こんなケースがある。
- A園(私立): 月給25万円 × 12ヶ月 + 賞与2.5ヶ月(62.5万円)= 年収362.5万円
- B園(私立): 月給22万円 × 12ヶ月 + 賞与4ヶ月(88万円)= 年収352万円
ボーナス月数で見るとB園のほうが魅力的に見える。でも年収総額ではA園のほうが10万円高い。
逆のパターンもある。
- C園(私立): 月給26万円 + 賞与2ヶ月 = 年収364万円
- D園(公立): 月給24万円 + 賞与4.4ヶ月(105.6万円)= 年収393.6万円
D園(公立)のほうが30万円高い。さらに公立は退職金・年金・昇給が私立より手厚いので、生涯年収で見るとさらに差が広がる。
住宅補助・借り上げ社宅の有無もデカい
私立の場合、ボーナスが低めでも借り上げ社宅で月8万円家賃補助が出れば、実質的には年収96万円プラスされているのと同じだ。
- ボーナス低め+借り上げ社宅ありの私立
- ボーナス高め+家賃全額自腹の公立
どちらが手元に残るかは、住んでいる地域の家賃水準で変わる。東京23区なら借り上げ社宅の威力は大きい。
求人票に載らない「実績ボーナス」の調べ方
ここが一番大事な話で、求人票に書いてある賞与月数と、実際に支給される月数は、一致しないことがある。
求人票の「2〜4ヶ月」のワナ
「賞与年2回(2〜4ヶ月)」という書き方の園、要注意。
これ、過去10年で1回でも4ヶ月出したことがあれば「2〜4ヶ月」と書ける。実際には毎年2ヶ月しか出ていないケースもある。
直近3年の実績支給月数を確認する
知りたいのは「直近3年の実績ボーナス月数」だ。
- 2023年実績
- 2024年実績
- 2025年実績
この3年分を比べて、毎年同じくらいの月数で推移しているなら信頼できる。ガクッと下がった年があるなら、園の経営状況の変化を疑っていい。
自分で園に聞きにくい項目
面接で「直近3年のボーナス実績を教えてください」と聞くのは、正直つらい。聞いた瞬間に評価が下がりそうで怖い、という人が多い。
実際、多くの保育士がボーナスの実額を知らないまま入職している。入ってみて初めて「聞いてた話と違う」となる。
ここで役に立つのが、非公開求人の情報を持っている転職サービスだ。

は、園との関係性を活かして「直近の賞与実績」や「処遇改善加算の反映方法」まで園に直接確認してくれる。求人票には載っていない実額ベースの情報を、自分が面接で聞くことなく把握できる。
「ボーナス4ヶ月って書いてあるけど、実際どうなんですか?」を代わりに聞いてくれる、という使い方だ。年収の3〜4割がボーナスで決まる職種だから、ここを確認せずに転職するのはリスクが高すぎる。
まとめ
- 公立保育士のボーナスは年間4.3〜4.5ヶ月分。2026年時点で年額80万〜130万円が目安
- 私立保育士のボーナスは園ごとに幅が大きく、年額45万〜85万円が中央値ゾーン
- 公立vs私立の「100万円差」は、基本給・支給月数・地域手当の合算で生まれる実数値
- 私立でもボーナスが高い園はある(社会福祉法人系の老舗、大手法人の基幹園、処遇改善加算IIIの賞与上乗せ型)
- 転職判断はボーナス単体じゃなく年収総額(月給×12+賞与+手当+家賃補助)で見る
- 求人票の「2〜4ヶ月」は実績ではなく幅の表記。直近3年の実績月数を確認することが重要
ボーナスの話は、同僚とも友達とも、なかなかできない。でも、自分の暮らしに直結する大事な数字だ。
私が同期に「ボーナス出た?」と聞けなかった日から、もう何年も経つ。今は、私立でも納得できるボーナスを出してくれる園にいる。当時の自分に言いたいのは、「聞けない気持ちを抱えたままにせず、数字で比べて動いていい」ということだ。
Bさんも結局、自分の園の賞与実績を転職サービス経由で調べ直して、「自分の園が処遇改善加算IIIを賞与に乗せていない」ことを知った。それをきっかけに、加算を賞与に反映する法人へ転職活動を始めた。今は前より納得して働いている。
数字を知ることから、働き方は変わっていく。
合同会社アワーソイル ほいくパーク編集部
保育士のボーナス事情についてよくある質問
公立と私立でボーナスはどれくらい違う?
公立は年4.3〜4.5ヶ月で年80〜130万円、私立は中央値で年45〜85万円程度の水準です。
2026年時点で公立保育士は条例で4.3〜4.5ヶ月分が決まっており、年間80〜130万円。私立は園ごとにバラつき、社会福祉法人系で4〜5ヶ月、企業内保育では寸志5万円のケースもあります。差は最大100万円です。
「100万円差」は本当?
基本給差・支給月数差・地域手当の合計で年75〜100万円差が実在し誇張ではないです。
公立と私立の差を分解すると、基本給差年24万円、ボーナス月数差36万円、地域手当のボーナス反映分15〜40万円。これらを合算すると75〜100万円の年収差が生まれる構造で、誇張ではありません。
私立保育園のボーナス相場は?
社福系4〜5ヶ月・中堅3〜4ヶ月・小規模認可2〜3ヶ月・企業内は寸志のケースもあります。
私立は園のタイプで分かれます。社会福祉法人系の老舗4〜5ヶ月、中堅認可で3〜4ヶ月、小規模認可・新興株式会社で2〜3ヶ月、認可外・企業内で1〜2ヶ月や寸志10万円以下。求人票で月数確認は必須です。
新卒1年目のボーナスはいくら?
公立は勤続期間で按分されるため満額支給ではなく、最初の夏は数万円のことが多いです。
公立保育士の場合、新卒の最初の6月ボーナスは勤続期間(4〜5月の2ヶ月分)で按分されるため満額が出ません。冬は満額に近づきますが、年間で見ると2年目以降より大幅に少なくなります。
私立で公立並みのボーナス園はある?
社会福祉法人系の老舗で4ヶ月超出る園は実在し、求人票の月数記載で見抜くことができます。
社会福祉法人系で歴史のある老舗園では賞与4.2ヶ月などの実例があります。求人票の「賞与○ヶ月分」を必ず確認し、3ヶ月以下なら平均より下、4ヶ月超なら優良と判断する目安として使えます。