ずっと分からなかった。

自分の給与が相場より低いのかどうか、ずっと分からなかった。調べ方を知らなかっただけだった。

同じ園で何年も働いていると、「こんなもんかな」という感覚に慣れてくる。他の保育士がいくらもらっているかも聞けない。だから自分がどこにいるのか、比較できないまま年数だけが経っていく。

調べてみて初めて分かった——「低いのかどうか分からない」は、正しい情報を持っていないだけだった、と。

このメディアを読んでいる人の中にも、同じ感覚を持っている人は多いと思う。「今の給与が相場と比べて低いのかどうか、はっきりさせたい」——そういう人に向けて、エリア別の数字を具体的に並べる。感情論じゃなく、データを見ていく。


関東の保育士給与——まず全体像から

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」と各エージェントサイトの公開データをもとに整理する。

月額給与(全年齢・正社員平均): 約22〜24万円
年収(額面): 約264〜288万円

ただし、この数字には「処遇改善加算」「借り上げ社宅制度」「賞与の差」が含まれていない。額面で並べると差が見えにくくなる——だから次でエリア別の実態を見ていく。

🐻 Bさん
「月22万円……自分の給与明細がまさにそれだ。関東の平均値がここなら、自分は平均ど真ん中にいるってこと?」

平均値は「適正ライン」ではない。ここから上に行く条件が存在する——それが重要だ。


エリア別給与相場——東京・神奈川・千葉・埼玉を比較する

「関東の保育士」でも、エリアによって給与相場は変わる。まず今の自分の現在地を確認しよう。

エリア 月額給与(目安) 年収・額面(目安) 備考
東京23区(都心部) 25〜28万円 300〜336万円 処遇改善加算の適用率が高い
東京23区(周辺区) 23〜26万円 276〜312万円
東京都下(多摩地区) 22〜24万円 264〜288万円 都心との差は1〜2万円程度
神奈川(横浜・川崎) 23〜26万円 276〜312万円 横浜市の補助が手厚い
神奈川(その他) 21〜24万円 252〜288万円 エリアによって開きがある
千葉 20〜23万円 240〜276万円 流山・柏など都心近郊は高め
埼玉 20〜23万円 240〜276万円 大宮・川口周辺は比較的高い

この表は「額面の月給」だ。

🐰 Cさん
「千葉・埼玉は月20〜23万円か。東京と比べると低く見えるけど……東京の家賃を払ってないと考えたら、実質どっちが手元に残るんやろ」

そこが核心。給与だけ見ると東京23区が高く見える。でも家賃を引いた「実質手取り」で比較すると、千葉・埼玉の園が有利になるケースがある——特に借り上げ社宅制度を使えない環境にいる場合は。

額面だけで「東京の方が給与が高い」と判断するのは早い。制度の有無と家賃相場を合わせて見ないと、実態は見えない。


年収アップの3条件——知っているかどうかで年間50万円変わる

給与の現在地を確認したら、次は「どうすれば上に行けるか」を見ていく。

関東で保育士の年収を上げる条件は3つ。

条件1:借り上げ社宅制度のある園に転職する

「給与を上げる」という観点で最も即効性が高いのが、借り上げ社宅制度の活用だ。

仕組みは単純。自治体が保育園に補助金を出し、園が保育士のために民間アパートを借り上げる。実質的に家賃の大部分が補助される。

補助額の目安(2026年3月時点):
- 千代田区:月額最大13万円
- 目黒区・渋谷区・港区:月額8〜9万円台
- 横浜市:月額8万2,000円
- 千葉・埼玉(各市):月額5〜7万円台

月8万円の補助が出るなら、年間96万円の可処分所得の差になる。

給与が月2万円上がるより、はるかに大きい。

🐻 Bさん
「月8万の補助って……年間96万円。5年続けたら480万円の差になる。これって給与が月8万円上がるのと実質的に同じ効果じゃないか。今の職場に社宅制度がないなら、転職だけで生活が変わる計算だ」

やばくないですか。給与が1円も上がらなくても、転職先を変えるだけで年間96万円、5年で480万円の差が出る。

ただし条件がある。2025年度の改正で「採用後5年以内」を対象とする自治体が増えた。横浜市は「1人1回限り」のルールも設けられている。いつ・どこで使うかを計画的に考える必要がある。

条件2:処遇改善加算の配分率が高い園を選ぶ

「処遇改善加算」は、保育士の給与底上げを目的とした国の補助制度。認可保育所が対象で、キャリアアップ研修の修了状況・勤続年数に応じて月額で支給される。

問題は、同じ「認可保育所」でも、加算をどこまで職員に配分しているかが園ごとに違うこと。

処遇改善加算の主な種類:

種類 支給額の目安 対象
処遇改善等加算Ⅰ 月額6,000〜40,000円 勤続年数に応じて変動
処遇改善等加算Ⅱ 月額5,000〜40,000円 キャリアアップ研修修了者
処遇改善等加算Ⅲ 月額9,000円 全保育士(近年追加)

加算Ⅰで月4万円・加算Ⅱで月4万円が支給される園に転職できれば、他の条件が同じでも年収が年間96万円変わる。5年で480万円、10年で960万円の差。

「うちの園は処遇改善加算をいくら支給していますか」——転職面接の前に、エージェント経由で確認してもらうのが現実的だ。求人票には書いていないことが多い。

条件3:認可外から認可保育所に転職する

認可外保育施設で働いている場合、認可保育所への転職は給与体系そのものが変わる。

施設種別 月額給与(目安) 処遇改善加算 借り上げ社宅
認可保育所(公立) 24〜30万円 対象 対象(自治体による)
認可保育所(私立) 22〜27万円 対象 対象(園による)
認可外保育施設 18〜22万円 対象外 対象外
企業内保育所 20〜25万円 一部対象 施設による

認可外から認可保育所へ移るだけで月3〜5万円——年収で36〜60万円の差が生まれるケースがある。

相場と比べて給与が低い理由が「施設の種別」にある場合は、転職で一気に改善できる。

🐰 Cさん
「認可外と認可でこんなに差があるの……。認可外にいる保育士さんって、制度の対象外だから社宅制度も処遇改善加算も関係ないってこと?それは知らなかった」

そう。認可外にいる限り、どんなに頑張っても制度の恩恵を受けられない。認可保育所への転職は、給与体系ごと変えるための一手になる。


「相場より低い」と感じたら——最初にやること

エリア別の表と自分の給与を比べて「低い」と感じた場合。最初にやることは一つだ。

転職エージェントに相談して、自分の市場価値を把握する。

理由はシンプル。「相場と比べて本当に低いのか」を正確に判断するには、自分のスキル・勤続年数・資格・就業エリアを加味した個別評価が必要になる。エリア別の平均値だけでは判断できない。

🐻 Bさん
「転職エージェントって、転職を決めてから使うものだと思ってた。相談だけでも使えるの?」

使える。むしろ「転職するかどうかを決める前に相談する」方が合理的な使い方だ。「今の給与が相場と比べてどうか知りたい」と伝えるだけでいい。自分の条件に近い求人を見せてもらうことで、相場が見えてくる。

🐰 Cさん
「相談してみて、今の園が実は悪くないとわかれば安心できる。低いとわかれば動く理由になる。どっちに転んでも損はない」

そのとおり。登録は無料で、相談後に転職するかどうかは自分が決める。情報を持った上で判断する——それだけのことだ。


整理します。

  • 関東の平均は月22〜24万円、年収264〜288万円(額面)
  • 東京23区は額面で高く見えるが、家賃を引いた実質手取りでは千葉・埼玉が逆転するケースがある
  • 年収アップの3条件:借り上げ社宅制度のある園 / 処遇改善加算の配分率が高い園 / 認可外から認可への移行
  • 「相場より低い」と感じたらエージェントに相談。給与の問題は我慢か諦めかの二択じゃない

同じ保育士という仕事をしながら、制度と転職先の選択で年間50〜100万円の差が出る。知っているかどうかだけの話だ。


給与面の相談ができるエージェント

処遇改善加算の配分率・社宅制度の有無——求人票に書いていない情報を事前に確認したい場合に、専門エージェントを使う。

[エージェントA](社宅制度ありの求人に強い・保育士専門)※提携準備中
[エージェントB](関東エリアの非公開求人が多い・担当者が保育士出身)※提携準備中

※記事公開時点で正式な提携エージェントのリンクに差し替えます。



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P.S.
この記事は2026年3月時点の公開データをもとにしている。給与相場・処遇改善加算の金額は毎年更新される。転職活動を始める前に最新の数字をエージェントに確認してほしい。


保育士の給料についてよくある質問

関東の保育士の給料の平均は?

東京都の常勤保育士の平均年収は約386万円、千葉・神奈川・埼玉は340〜360万円が相場です。

関東の保育士給料(2024年厚労省調査):東京都386万円・神奈川360万円・千葉350万円・埼玉345万円・茨城320万円。東京は処遇改善加算と都独自補助で全国トップ水準。地方より平均で50〜80万円高い計算です。

保育士の手取り20万円は実現可能?

東京都の認可保育園で勤続3年以上、または地方の主任クラスなら手取り20万円を超えるのが現実です。

手取り20万円のリアル:①東京都・神奈川県の認可保育園で勤続3年〜(社会保険・税引き後20.3〜21.5万円)②地方の主任以上・処遇改善加算III適用(19.8〜20.5万円)③企業主導型保育で経験者採用(21〜23万円)。新卒1年目で20万円超は難しいです。

保育士の年収1000万円は可能?

通常の認可保育園では現実的でなく、園長・施設長・複数園経営・独立開業ルートでのみ到達可能です。

保育士で年収1000万円に到達する5パターン:①社会福祉法人の本部役員 ②大規模保育園の園長兼施設長 ③複数園を経営する法人代表 ④保育士養成校の教授・講師 ⑤独立開業(小規模保育・ベビーシッター・教材販売)。一保育士のままでは難しい水準です。

保育士の年収はどう上がる?

「経験年数加算」「処遇改善I・II・III」「役職昇格」「転職」の4軸で上がる仕組みになっています。

年収アップの4ルート:①基本給の経験年数加算(毎年4,000〜8,000円)②処遇改善加算I・II・III(最大40,000円/月)③主任・副主任・専門リーダーへの昇格(5,000〜40,000円/月)④高単価園への転職(年収50万円以上UPも可能)。

保育士の給料は公立と私立どちらが高い?

勤続15年以上では公立(公務員)が私立より平均1,200万円多く、退職金も公立のほうが圧倒的に有利です。

公立保育士は地方公務員扱いで、勤続年数に応じた昇給と退職金(2,000〜3,000万円)が確実。私立は法人格差が大きく、勤続15年で公立が私立を平均1,200万円上回ります。ただし公立は採用倍率10〜30倍と狭き門です。


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