考えすぎて疲れる保育士へ|認知のクセと、自分のほどき方
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こんにちは。
今日も一日、おつかれさまでした。
この記事を開いたということは、たぶん仕事が終わったあとも頭の中がずっと働いているのだと思います。
あの場面、もう少し違う対応ができたんじゃないか。保護者のあの一言は、何か含みがあったんじゃないか。同僚のあの表情は、私への不満だったんじゃないか。布団に入っても、その再生が止まらない。
私は保育士歴20年、大阪から関東に移って、ほいくパークでこうして文章を書いています。実を言うと、私自身がずっと「考えすぎる人」でした。だから今日は、その思考のクセとの付き合い方を、認知行動療法という考え方をやさしく紹介しながら、一緒に整理してみたいんです。
なぜ保育士は考えすぎて疲れてしまうのか
まず伝えたいのは、考えすぎて疲れるのは、あなたが弱いからではないということです。
保育士という仕事は、一日中ずっと気を張っています。子どもの安全から目を離せない。保護者の機嫌をうかがう。同僚との連携に神経を使う。この、心も体もずっと緊張したままの状態を過緊張といいます。仕事中にスイッチが入りっぱなしになると、家に帰ってもそのスイッチがなかなか切れません。
そしてもうひとつ。保育士には気にしすぎる性格の人がとても多い。これは欠点ではなく、むしろ仕事に必要な力です。子どものわずかな変化に気づける人、保護者の表情を読める人。その繊細なアンテナがあるから、いい保育ができている。
でも、そのアンテナは仕事が終わっても勝手にはオフになりません。だから帰り道も、お風呂の中も、布団の中も、ずっと何かを受信し続けてしまう。責任感の強い人ほど、その受信した情報を全部「自分のせいかもしれない」と引き受けてしまうんですよね。
つまり、考えすぎて疲れるのは、繊細さと責任感と過緊張が重なった結果。性格の問題というより、保育士という仕事の構造とセットで起きていることなんです。
「認知のゆがみ」とは何か
ここで、認知行動療法という考え方を少しだけ紹介させてください。認知行動療法は、CBTとも呼ばれる、心の整え方のひとつです。
CBTでは、同じ出来事でも「どう受け取るか」で気持ちが大きく変わると考えます。この受け取り方のことを認知といいます。そして、受け取り方がいつも特定の方向にかたよってしまう状態を認知のゆがみと呼びます。
「ゆがみ」と聞くと、なんだか自分が壊れているように感じるかもしれません。でも、そうではありません。認知のゆがみは、誰の中にもある「思考のクセ」のことです。利き手があるのと同じで、考え方にもクセがある。それだけのことなんです。
大事なのはここです。認知のゆがみは、性格の問題でも、頭が悪いからでもありません。長く同じ環境で同じ気の使い方をしていると、思考に「いつもの通り道」ができてしまう。その通り道が少しきつい方向にできてしまっているだけ。そして通り道なら、別の道を少しずつ作り直すことができます。
保育士に出やすい認知のクセはどんなもの?
認知のクセにはいくつかの型があります。ここでは、保育士に特に出やすいものを、現場の場面と一緒に見ていきます。読みながら「あ、これ私だ」と思うものがあったら、それは責める材料ではなく、気づきです。
白黒思考
白黒思考は、ものごとを「完璧か、ダメか」の二択で考えてしまうクセです。
たとえば、製作の活動がひとつだけうまくいかなかった日。本当は他の時間はうまくいっていたのに、「今日はダメな一日だった」と全部を失敗に塗りつぶしてしまう。連絡帳を一文だけ書き直したくなって、「ちゃんと書けない私はダメな保育士」と決めつけてしまう。
保育に「100点満点」はありません。それなのに白黒思考があると、95点の日も「100点じゃないから0点」になってしまうんです。
べき思考
べき思考は、「こうあるべき」「こうしなければ」という決まりで、自分をしばってしまうクセです。
「保育士は子どもの前で絶対に笑顔でいるべき」「保護者には完璧に対応すべき」「同僚に迷惑をかけてはいけない」。どれも立派な心がけです。でも、その「べき」が多すぎると、達成できなかったときに自分を責める材料が増えていくだけになります。
体調が悪い日も、気分が乗らない日もあるのが人間です。「べき」を「できたらいいな」にゆるめるだけで、心はずいぶん軽くなります。
反芻思考
反芻(はんすう)思考は、終わったことを頭の中で何度も再生してしまうクセです。考えすぎて疲れる人の、いちばんの正体がこれかもしれません。
「あのとき、ああ言えばよかった」「あの対応、間違っていたかも」。すでに終わって、もう変えられないことを、夜になっても繰り返し再生してしまう。反芻思考は、考えているようでいて、実は答えにはたどり着きません。同じ場面をぐるぐる回り続けて、ただ心をすり減らしていくだけなんです。
人の目が気になる
人の目が気になるのも、保育士にとてもよくある思考のクセです。
「主任は今の私の対応をどう思っただろう」「あの保護者は私を頼りないと思っているかも」。相手の心の中を、勝手に悪い方向に読んでしまう。これは「心の読みすぎ」とも呼ばれます。本当は相手は何も気にしていないことが多いのに、自分の頭の中で相手を不機嫌にしてしまうんですよね。
思考のクセは「コラム法」でほどける
では、その思考のクセとどう付き合えばいいのか。CBTには、考え方を少しずつ整理し直していく方法があります。その代表がコラム法です。
コラム法は、頭の中でぐるぐる回っている考えを、いくつかの欄に分けて書き出していく方法です。「ゆがみを直す」というより、「ぐるぐるを紙の上に降ろして、いったん外から眺める」ためのもの。順番に見ていきます。
1. 出来事。まず、気持ちがざわついたきっかけを、事実だけ書きます。「お迎えのとき、保護者が無言で帰った」のように、起きたことだけを短く。
2. 自動思考。そのとき頭に自動的に浮かんだ考えを書きます。「私の保育に不満があるんだ」「嫌われたかもしれない」。判断せず、浮かんだままを書くのがコツです。
3. 根拠。その考えが正しいと思える事実を書きます。「無言だった」。たいてい、ここに書けることは思ったより少ないことに気づきます。
4. 反証。逆に、その考えと合わない事実を書きます。「いつもは普通に話してくれる」「お迎えの時間に急いでいた様子だった」「下の子を抱っこして手がふさがっていた」。反対側の事実を探してみると、別の見え方が出てきます。
5. バランスの取れた考え。最後に、根拠と反証の両方を見たうえで、もう少し落ち着いた考えに書き直します。「不満があったとは限らない。急いでいただけかもしれない。気になるなら明日さりげなく声をかけてみよう」。
やってみると分かるのですが、コラム法のいちばんの効果は、頭の中の考えを「外に出す」ことそのものにあります。頭の中にあるうちは、考えは大きく見えて、ぐるぐる回り続けます。紙の上に降ろすと、「あれ、根拠ってこれだけだったんだ」と、自分の考えを少し離れた場所から見られるようになる。これをCBTでは認知再構成と呼びます。
はじめから上手にできなくて大丈夫です。コラム法は、考えを必ず変える魔法ではありません。「いつもの通り道」とは別の道を、少しずつ作る練習。続けるうちに、ぐるぐるが来たときに「あ、また反芻が始まったな」と早めに気づけるようになっていきます。
一人でも続けるために
コラム法は効果のある方法ですが、正直に言うと、ノートに毎回手書きするのは続きにくい。仕事で疲れて帰った夜に、わざわざ机に向かって欄を書く、というのはハードルが高いんですよね。私自身、ノートで挫折した経験があります。
そこで、もう少し気軽に続けられる道具として紹介したいのが、AIメンタルヘルスアプリのAwarefy(アウェアファイ)です。
Awarefyは、認知行動療法の考え方をベースにしたセルフケアアプリです。スマホひとつで、気持ちや思考を整理していく道具、と考えてもらうと分かりやすいと思います。私がいいなと思ったのは、次の3つです。
感情記録。今の気持ちを、その場でさっと記録できます。仕事帰りの電車の中でも、布団の中でも、「今こういう気持ち」と残しておける。続けていくと、自分がどんな場面でざわつきやすいか、自分の自己肯定感が下がりやすいタイミングが、だんだん見えてきます。
コラム法。さきほど紹介したコラム法を、アプリの中で順番に書き進められます。出来事、自動思考、根拠、反証、と欄に沿って入力していけるので、白紙のノートと向き合うより、ぐっと取りかかりやすい。考えすぎて疲れた夜の、思考の置き場所として使えます。
AIメンタルパートナー。AIに今日あったことや気持ちを話しかけられます。誰かに話したいけれど、家族にも同僚にも言いにくい。そんな夜に、ひとまず言葉にする相手として使えます。AIなので、こちらの都合のいい時間に、何も気をつかわずに話せるのがいいところです。
重要なことをお伝えしておきますが、Awarefyはアプリであって、病院でも医療機器でもありません。何かを「治す」道具ではなく、自分で気持ちや思考を整理するための道具です。だから、つらさが軽い段階で、自分のために淡々と使っていく、という付き合い方が向いています。
無料で試せる範囲もあるので、まずは感情記録だけ、数日触ってみる。それくらいの軽さで始めてみるのがいいと思います。考えすぎて眠れない夜の習慣を、少しずつ別のかたちに置き換えていく。その最初のひとつとして、検討してみてください。
それでもつらいときは
ここまで、自分でできるセルフケアの話をしてきました。でも、ひとつだけ、はっきり書いておきたいことがあります。
もし、夜まったく眠れない日が2週間以上続いている。理由もなく涙が止まらない。朝、起き上がる力が出てこない。そういう状態なら、セルフケアでがんばろうとせずに、心療内科や精神科を受診してください。
これは、特別な人が行く場所ではありません。風邪をひいたら内科に行くのと、同じことです。保険も使えます。「自分はまだそこまでじゃない」と思っているうちに行くほうが、回復もずっと早いんです。
コラム法もアプリも、つらさが軽いうちに自分を整える道具です。重くなってきたら、ためらわずに専門家の力を借りてくださいね。
まとめ
- 考えすぎて疲れるのは、繊細さと責任感と過緊張が重なった結果。性格の欠点ではない
- 認知のゆがみは、誰にでもある「思考のクセ」。白黒思考・べき思考・反芻思考・人の目が気になる、などがある
- コラム法で、頭の中の考えを紙やアプリの上に降ろすと、自分の考えを外から眺められるようになる
- Awarefyは、CBTの考え方をベースにしたセルフケアアプリ。感情記録・コラム法・AIメンタルパートナーで、一人でも思考のクセを整えていける
- 眠れない・涙が止まらないなど症状が重いときは、ためらわず受診を
思考のクセは、一日では変わりません。でも、別の通り道は、今日から少しずつ作っていけます。あなたが繊細なのは、保育士としての才能です。その才能で、自分のことも、少しだけやさしく見てあげてくださいね。
考えすぎて疲れる保育士に関するFAQ
考えすぎて疲れるのは、気にしすぎる性格のせいですか?
性格の欠点ではなく、繊細さ・責任感・過緊張が重なって起きる「思考のクセ」です。
保育士は子どもの変化に気づける繊細なアンテナを持っていて、それは仕事に必要な力です。ただ、その気にしすぎる性格は仕事が終わってもオフになりにくく、過緊張や責任感と重なると、家に帰っても考え続けてしまいます。性格を直す話ではなく、思考のクセとの付き合い方を覚える話です。
反芻思考をやめるには、どうしたらいいですか?
頭の中で再生し続けるのをやめ、考えをコラム法などで紙やアプリに書き出すのが有効です。
反芻思考は、終わったことを頭の中で何度も再生してしまうクセです。考えているようで答えにはたどり着かず、心をすり減らします。コラム法のように考えを外に書き出すと、「あ、また反芻が始まったな」と早めに気づけるようになり、ぐるぐるから抜けやすくなります。
コラム法とは何ですか?保育士でもできますか?
出来事・自動思考・根拠・反証・バランスの取れた考え、と欄に分けて書き出すCBTの方法です。
コラム法は認知行動療法で使われる、考えを整理する方法です。気持ちがざわついた出来事から順に欄を埋めていくと、自分の考えを外から眺められるようになります。特別な資格は不要で、誰でも取り組めます。白紙のノートが続かない人は、Awarefyのようなアプリで欄に沿って入力する方法もあります。
白黒思考やべき思考は、どうやってゆるめますか?
「100点かゼロか」「こうすべき」を、「だいたいできた」「できたらいいな」に言い換える練習が役立ちます。
白黒思考は完璧かダメかの二択で考えるクセ、べき思考は「こうあるべき」で自分をしばるクセです。保育に100点満点はありません。95点の日を0点に塗りつぶさず、「べき」を「できたらいいな」にゆるめるだけで、自分を責める材料が減り、心が軽くなります。
Awarefyは病院の代わりになりますか?
なりません。Awarefyはアプリであり、診断や治療を行う医療機関ではありません。
AwarefyはCBTの考え方をベースにしたセルフケアアプリで、感情記録やコラム法で自分の気持ちや思考を整理する道具です。つらさが軽い段階のセルフケアに向いています。眠れない日が2週間以上続く、涙が止まらないなど症状が重いときは、アプリで対処しようとせず、心療内科や精神科を受診してください。