「お給料っていくらですか?」

見学の最後、園長先生に向かって私はこの質問を飲み込んだ。喉まで出てきてたのに、言えなかった。

だって、求人票には23万円って書いてあるのに、本当にそれで手取りいくらなのか、残業代は別なのか、処遇改善手当は含まれてるのか——本当に聞きたかったのはそこやってんけど、園長先生のあの優しい笑顔の前で「お金」って単語を出すのが、どうしてもできひんかった。

結局その園に入った私が数ヶ月後に知ったのは、「基本給23万」の中に処遇改善手当2万円が全部入ってて、残業代はみなし残業20時間込み、という事実。手取りは17万を切っていた。

あのとき、給料を直接聞かずに待遇を見抜く「技術」を知ってたら、私はあの園を選んでへんかった。

今日は、園見学で給与を直接聞かずに園の本性を見抜く質問15個を、全部の「裏側の意図」とセットで公開する。


園見学は"情報戦"である——見学は品定めされる場じゃなくて、する場

まず大前提から。

園見学って「こっちが見てもらう場」だと思ってる保育士、まだ多い。でも違う。見学は、こっちが園を品定めする場です。

園長先生は当然「良いところ」しか見せへん。園のホームページにも、求人票にも、悪いことは書いてない。じゃあ本当の待遇・本当の人間関係・本当の職場環境を知る方法は?

質問です。 それも「聞きたいこと」をストレートに聞くんやなくて、「別の質問で間接的に真実を炙り出す」技術が要る。

🐻
Bさん
「わかります。僕、最初の見学で職員さんに『何時に帰れますか?』って聞いたら『定時で帰れますよ〜』って返ってきて。実際入ったら持ち帰りが週3で発生してた。『園で定時に帰れるか』と『家で仕事をしないか』は、別の質問なんですよね」
👩‍🏫
先生
「せやねん。『聞き方』を工夫するだけで、見える景色がガラッと変わるんよ。今日教える15個は、全部『裏側の意図』がある質問や。上っ面で聞くんじゃなくて、相手の答えから何を読み取るかを意識して使ってな」

質問15個——3カテゴリに分類

【カテゴリA】待遇・労働環境を見抜く質問(5問)

給与を直接聞かずに、給与水準・残業・有休の実態を見抜く質問。


Q1. 「先生方は、お昼休憩はどこで取られていますか?」

裏の意図: 休憩が"取れているか"を見る。

「職員室で交代で」「子どもから離れた部屋でゆっくり」と答える園は、休憩を制度として確保している。

一方で「保育室の隅で」「子どもを見ながら」と答える園は要注意。保育士の休憩は労働基準法で45分以上と決まってる。 これが取れてない園は、他の労務管理もグダグダの可能性が高い。


Q2. 「行事の準備は、どのタイミングでやられているんですか?」

裏の意図: 持ち帰り・サービス残業の有無を見る。

「勤務時間内に少しずつ」「シフトに組み込んでる」なら健全。

「みんな家で頑張ってくれてます(笑)」「休憩時間に〜」はアウト。園が「持ち帰り前提」で運営されてる証拠。

「行事前は残業代つきますか?」とは聞かず、このタイミングで自然に確認できる。


Q3. 「有給ってみなさん、どのくらい取られていますか?」

裏の意図: 有給消化率と「取りやすい空気」の両方を見る。

「年10日以上は取れてます」と具体数字で返ってくるなら、記録管理ができてる園。

「取れますよ〜」とふわっと答えたり、「取りたい人は取ってもらってます」みたいな言い方は黄色信号。「取りたい人は」って表現には「取りにくい空気がある」って裏が透ける。


Q4. 「先生方の平均勤続年数はどれくらいですか?」

裏の意図: 定着率=総合的な働きやすさ。

これが一番シンプルで強力。5年以上なら優良、3年前後なら標準、1〜2年なら黒に近い。

定着率は給与・人間関係・業務量・園長の人柄、全部の結果として出てくる。この数字が低い園は、表面上どれだけ綺麗でも何かある。


Q5. 「直近で新しく入られた先生は、どんなきっかけで来られたんですか?」

裏の意図: 採用市場での評判を見る。

「紹介で」「ずっと見学に通ってくださってて」と答える園は、口コミで人が来る優良園。

「求人サイトから」「派遣会社から」ばっかりなら、金を払わないと人が集まらない園の可能性あり。園の"魅力の単価"が質問一つで見える。

🐱
Aさん
「私、前の企業内保育を辞めて認可園を見学してたとき、Q5を聞いたんです。園長先生が『前にいた先生の紹介なんですよ。辞めた先生が“いい園だったから友達紹介します”って』って答えてくれて。辞めた人が友達を紹介する園って、それだけでもう答え出てるじゃない、って思いました」

【カテゴリB】人間関係・雰囲気を見抜く質問(5問)

「人間関係いいですか?」って直接聞いても全員「良いですよ」しか言わへん。別角度から切り込む。


Q6. 「ベテランの先生と若手の先生、どんな感じで連携されてますか?」

裏の意図: 世代間のパワーバランス。

「お互い学び合ってます」「若手が意見出しやすい雰囲気を意識してる」と具体的に答えられるなら健全。

「昔ながらのやり方を大事にしてて〜」「ベテランが指導してます」って一方通行な表現は要注意。保育園の人間関係トラブルの8割はベテランvs若手の構造。


Q7. 「先生方同士のミーティングって、どのくらいの頻度でありますか?」

裏の意図: 情報共有の仕組みが"ある"か"ない"か。

「週1で30分」「クラス会議は月1」と具体的に答えられるなら、組織として機能している。

「必要なときに集まってます」「なかなか時間取れなくて〜」は危険。ミーティングがない園は、問題が全部個人の裁量で処理される。 トラブル時に誰も助けてくれへん。


Q8. 「園長先生は、普段どのくらい保育室にいらっしゃいますか?」

裏の意図: 園長と現場の距離。

「毎日数回回ってます」「0歳児クラスは特に見てます」なら現場型園長。

「事務室にいることが多いかな」「何かあったら呼ばれます」は、現場から遠い園長。現場を知らない園長が決めたシフト・人員配置は、ほぼ100%現場で歪む。


Q9. 「最近、職員の方々で一番盛り上がった話題って何ですか?」

裏の意図: 職員同士が話してるか=心理的安全性。

具体的なエピソード(「運動会の話」「新しいカリキュラム」「誰々先生の結婚」など)がスッと出てくる園は、職員間の関係が良好。

「えーっと……」と詰まる、「あんまりそういう雑談する時間がなくて」と答える園は、職員同士が冷えてる可能性大。質問がふわっとしてる分、相手のリアル度が炙り出される。


Q10. 「もし保護者とのトラブルがあったとき、誰がどう動かれるんですか?」

裏の意図: 組織として守ってくれるかどうか。

「まずクラス担任と主任で対応して、必要なら園長が同席します」と明確なフローがあるなら安心。

「担任が中心になって〜」「ケースバイケースで〜」と曖昧な園は、トラブル時に担任一人が矢面に立たされる。 新人なら潰される典型パターン。

🐻
Bさん
「僕、千葉の前の園ではQ10を聞いてなくて、入ってから噛みつきトラブルで保護者対応一人で丸投げされました。次の園見学で必ず聞くようにしたら、今の園は『園長が必ず同席します』って即答してくれて。そういう園を選んでよかった」

【カテゴリC】保育方針・教育を見抜く質問(5問)

保育方針は表向きどこの園もキレイな言葉を並べる。本音を炙り出す質問。


Q11. 「日々の記録って、どのアプリ・ツールで管理されてますか?」

裏の意図: IT化の度合い=業務負担。

「キッズリー使ってます」「コドモンで連絡帳デジタル化してます」と答える園は、保育士の事務負担を減らす意識がある。

「全部手書きです!」が誇らしげに返ってくる園は要注意。手書き連絡帳20人分は毎日1〜2時間の追加労働。 温かさと非効率は紙一重。


Q12. 「こちらの園で、保育士さんが一番やりがいを感じるのはどんな瞬間だと聞いていますか?」

裏の意図: 園が「保育士の声」を拾えてるかどうか。

「去年のアンケートで〜」「新人の〇〇先生が先日〜」と具体的に答えられる園は、職員の声を聞く仕組みがある。

「え〜、どうでしょう……」と詰まる園は、園長・主任が現場の声を聞いてない証拠。


Q13. 「保育で一番大事にしていることを、園長先生ご自身の言葉で教えてください」

裏の意図: 「ホームページの言葉」を本当に信じてるか。

ホームページの丸暗記じゃなく、自分の言葉で語れる園長は本物。エピソードまで混ぜて話してくれたら最高。

「うちの理念は……」とホームページ丸読みする園長は、その理念を現場に落とし込む力がない可能性が高い。


Q14. 「新人の先生が一番最初につまずくことって、何だと思われますか?」

裏の意図: 新人育成の"解像度"。

「最初はお昼寝の寝かしつけで戸惑う子が多いですね」「連絡帳の書き方に1ヶ月はかかります」と具体的に答える園は、新人を見てきた実績がある。

「人それぞれかな〜」「慣れですね」はアウト。新人を雑に扱ってきた園の典型回答。


Q15. 「この園に入って後悔する人がいるとしたら、どんな理由だと思いますか?」

裏の意図: 園側が"自分の園の弱点"を把握してるか。

この質問、正直ちょっと攻めてる。でも答え方で園長の誠実さが全部出る。

「うちは行事が多いので、行事が苦手な方はつらいかも」「縦割り保育なので、年齢別でガッツリやりたい方には合わないです」と弱みを正直に話せる園長は信頼できる。

「後悔する人なんていませんよ(笑)」と返ってくる園は、自分の園を客観視できない=入職後の齟齬が出やすい。

👩‍🏫
先生
「Q15はな、園長の人間性が一番出る質問やねん。保育って完璧な正解がないから、『うちにも合わない人はおる』って言える園長の方が、現場でも柔軟に対応してくれるんよ」

見学時の観察ポイント——質問以外で見る"本当の姿"

質問15個に加えて、口では隠せない情報を目で集める。

1. トイレ・更衣室・休憩室を見せてもらう

「お手洗いお借りしていいですか?」で十分。
- トイレが清潔か
- 更衣室に私物があふれてないか
- 休憩室に食事の跡があるか(=休憩中に食事できる環境か)

バックヤードの荒れ具合は、その園の"本音"。 保護者向けにキレイにしてる部分だけ見ても騙される。

2. 先生同士の"呼び方"を聞く

見学中、職員さんがお互いを何と呼んでるか。
- 「〇〇先生」だけ → フォーマルで距離感あり(悪くないが冷たい園もある)
- あだ名混ざる → 関係性が柔らかい
- 呼び捨て・怒鳴り声 → 論外

3. 子どもたちが職員の顔を見るか

0〜2歳児は特に正直。子どもが職員に自然に寄っていく園は、職員が安心できる存在として認識されてる。

逆に、職員が近づいたときに子どもが緊張する園は、何かある。

4. 掲示物の日付を見る

クラスの壁に貼ってある製作・連絡・予定表の日付が古い園は、日常の回し方が雑。

新しいものがちゃんと更新されてる園は、職員が日々アップデートする余裕がある。

5. 園長先生が現場スタッフの名前を何回出すか

説明中に「〇〇先生が〜」「△△先生がこないだ〜」と職員の固有名詞が自然に出る園長は、現場を把握してる。

「うちのスタッフが〜」「職員が〜」としか言わない園長は、名前で認識してない=距離がある。

🐱
Aさん
「私、今の認可園を見学したとき、園長先生が『2歳児クラスのあーちゃん先生が、朝いつも〇〇ちゃんの靴を並べ直してくれるんです』って具体的な話をしてくれたんです。職員を名前で語れる園長って、現場をちゃんと見てるってことなんやって、入ってから実感しました」

聞いてはいけない質問NG集

逆に、見学で聞くと印象を落とす質問もある。

NG1. 「お給料いくらですか?」「ボーナスは何ヶ月ですか?」

直接聞かない。 求人票・面接で確認すべき話題。見学でコレを聞くと「お金だけで選ぼうとしてる人」と見られる。

カテゴリAの質問で間接的に労働環境を見るだけで十分。

NG2. 「残業代はちゃんと出ますか?」

ニュアンスが"疑ってる"になるのでNG。Q2の「行事準備はいつやる?」で十分読み取れる。

NG3. 「人間関係いいですか?」

誰も「悪いです」と答えへん。ゼロ情報の質問。カテゴリBの5問で迂回する。

NG4. 「前に辞めた人はなぜ辞めたんですか?」

園の悪口を引き出そうとしてるように見える。Q4の「平均勤続年数」で充分。

NG5. 面接のように「私の強みは〜」と自分アピールしまくる

見学はこっちが見る場。 自己PRは面接でやる。見学で喋りすぎる人は「この人現場でも聞く耳なさそう」と思われる。


見学調整が重い人へ——代行してくれるサービスがある

ここまで読んでくれた人の中には、「質問リストは分かった。けど、そもそも見学アポ取るのがつらい……」って人もいると思う。

働きながら転職活動してると、電話できる時間も限られる。「見学したい園は5つあるけど、1件ずつ連絡するのが気が重い」——すごく分かる。

そういうとき、転職サイトの担当者に見学調整を丸投げするのが一番楽。

私が見学時に使ってたのは レバウェル保育士

。ここのLINEで担当者とやり取りできるから、「この園とこの園の見学日程組んでください」って送ったら、希望の時間帯ベースで全部調整してくれる。

さらに「何を聞けばいいか分からない」って相談すると、今回の15個みたいな質問リストを一緒に作ってくれる。 園ごとに「ここは特にこの点を聞いた方がいい」とカスタマイズもしてくれるから、見学の質が上がる。

電話が苦手な人、日中仕事中で連絡取れない人、見学準備に不安がある人——私みたいにあのときの私を救ってあげたい人は、使ってみてほしい。


まとめ——「聞き方」を知るだけで園選びは変わる

園見学で見るべきは「園が見せたい姿」じゃなくて「園が隠してる姿」。

今日の15個の質問と、5つの観察ポイントを使えば、求人票や園のホームページだけじゃ絶対にわからない本音が見える。

もう一度、重要な3つだけおさらいする。

  1. 平均勤続年数(Q4) ——これが低い園は、表面がどれだけ綺麗でも何かある
  2. 園長先生が職員の名前を出すか(観察ポイント5) ——現場を見てる園長かどうかが一瞬でわかる
  3. 「後悔する人がいるとしたらどんな理由?」(Q15) ——園長の誠実さが全部出る

私は最初の園で給料を聞けずに失敗した。でも、その後の転職で15個の質問を使えるようになってから、園選びで外すことがなくなった。

あなたの次の見学が、「何となく良さそう」で終わらずに、「待遇・人間関係・保育方針、全部確信して選んだ」になりますように。

園見学は情報戦。でも武器さえ持てば、勝てる戦い。

保育園見学の質問についてよくある質問

見学で給与を直接聞かない方がいい?

直球より「処遇改善は」「行事準備のタイミングは」と間接的に聞くのが見学では正解です。

「給料いくら」と聞くと条件しか見ない人と判定されかねません。「行事準備はいつやられているか」(持ち帰りの有無)、「お昼休憩はどこで」(休憩取得の実態)など間接質問で実態を炙り出す方が情報を取れます。

離職率を直接聞いていい?

「平均勤続年数」を聞くのが最強で、5年以上が優良・1〜2年なら黒に近いと判断します。

「離職率は」と直接聞くより「先生方の平均勤続年数はどれくらいですか」が穏やか。5年以上なら優良園、3年前後で標準、1〜2年なら何かある園。給与・人間関係・業務量・園長の人柄の総合結果が出ます。

持ち帰り仕事の有無はどう聞く?

「行事準備はいつやられているか」と聞いて、サービス残業の有無を間接的に炙り出します。

「行事の準備は、どのタイミングでやられているんですか?」が王道。「勤務時間内に少しずつ」「シフトに組み込んでる」が健全。「みんな家で頑張ってくれてます」「休憩時間に〜」と答える園は持ち帰り前提です。

園長の人柄はどう見抜く?

「園長は普段保育室にどのくらい?」で現場との距離感が一発で見抜けるようになります。

「毎日数回回ってます」「0歳児クラスは特に見てます」なら現場型園長で安心。「事務室にいることが多い」「何かあったら呼ばれます」と答える園は、現場を知らない園長で意思決定が現場感覚と離れがちです。

見学で必ず聞くべき質問は?

待遇5問・人間関係5問・将来5問の計15問を、場の雰囲気で出すのが理想的な型です。

①休憩はどこで(労務管理)、②行事準備のタイミング(持ち帰り)、③有給取得状況(取りやすさ)、④平均勤続年数(定着率)、⑤新人のきっかけ(口コミ評価)の5問は最重要。残り10問は記事本文に網羅されています。


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