幼児クラス(3〜5歳児)の月案 文例集|4月〜3月の月別ねらい・養護・教育(2026年版)
この記事は2026年7月時点の情報をもとにしています。
年少から年中に持ち上がったとき、去年の月案の年齢の数字だけを書き換えて提出したことがあります。ねらいの中身は去年のままでした。当時の主任に「これ、去年の年少さんの姿だよね。今年の子はもう自分たちで役割を決めて遊んでるでしょう」と言われて、恥ずかしさで返す言葉がありませんでした。
その悩み方、よくわかります。あくまで私の園での経験に基づく一例ですが、幼児クラスの月案は「同じ月・同じ活動」でも、3歳児・4歳児・5歳児で見る視点の重心が変わることを意識すると、書き分けがしやすくなります。月案そのものの構成や書き方の基本は、月案の書き方の記事にまとめているので、この記事では保育所保育指針の条文を出典としながら、4月から3月まで月ごとの文例に絞って整理します。
3歳児・4歳児・5歳児を同じ視点で月案に書けない理由とは?
幼児クラスの月案が難しいのは、3〜5歳児をまとめて計画を立てる園の場合、(園によっては年齢別に保育室が分かれることもありますが)同じ保育室・同じ活動で過ごしていても、育ちの段階が違うからです。保育所保育指針では、3歳以上児の時期について次のように示されています。
この時期においては、運動機能の発達により、基本的な動作が一通りできるようになるとともに、基本的な生活習慣もほぼ自立できるようになる。理解する語彙数が急激に増加し、知的興味や関心も高まってくる。仲間と遊び、仲間の中の一人という自覚が生じ、集団的な遊びや協同的な活動も見られるようになる。
(出典:厚生労働省「保育所保育指針」)
この条文の中の「仲間の中の一人という自覚」「協同的な活動」は、年少より年中、年中より年長のほうがはっきり姿として見えてきます。月案の環境構成の欄に、この「協同性の育ち方の差」を一言でも入れておくと、同じ活動でも学年によって書くねらいが変わる理由が説明できます。この記事では、この視点を土台にしながら、月ごとの文例に絞って扱います。月案という書式そのものの考え方は、冒頭でリンクした基本記事をあわせて読んでください。
4月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
進級直後の4月は、新しい保育室・新しい担任・新しいクラス編成に、子どもたちがまだ慣れていない時期です。年長になった子は「もうお兄さん・お姉さんだから」という期待と戸惑いを同時に抱えていることが多く見られます。
ねらい文例(養護):
新しい環境や友達関係に対する不安な気持ちを保育者が受け止め、安心して過ごせる時間と場所を確保する。
ねらい文例(教育):
新しい保育室やクラスの友達に興味を持ち、保育者や友達と一緒に過ごす中で、少しずつ安心感を広げていく。
配慮のポイント:進級して学年が上がった子ほど「できて当然」という目で見られがちですが、実際には新しい担任や部屋の配置に戸惑っている姿が見られます。不安な様子が見えたときは、学年に関わらず個別に声をかける時間を保育者の動線にあらかじめ組み込んでおくことが欠かせません。
年齢別の姿:3歳児は保育者のそばを離れずに過ごす姿が多く見られます。4歳児は新しいクラスの友達の名前を覚えようとする姿が見られます。5歳児は年下の学年を気にかけたり、頼られたりする場面が増えてきます。
5月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
新しい環境に少しずつ慣れ始める5月は、気候も安定し、戸外での活動が広がる時期です。こどもの日にちなんだ製作や、園庭での活動量が増えていきます。
ねらい文例(養護):
気温や体調の変化に応じて衣服の調整を促し、一人一人のペースで活動と休息のバランスが取れるようにする。
ねらい文例(教育):
戸外での遊びが広がる中で、友達と誘い合ったり、一緒に遊具を使ったりする楽しさを味わう。
配慮のポイント:活動範囲が広がる時期は、友達との関わりが増える分、遊具の順番待ちや役割をめぐる小さなトラブルも増えます。トラブルの仲立ちをする際、年齢によって言葉での説明の理解度が違うため、同じ場面でも年少児には短い言葉、年長児には気持ちを言葉にする時間を分けて対応することが必要です。
年齢別の姿:3歳児は好きな遊具を繰り返し使う姿が中心です。4歳児は誰かと一緒に遊ぼうと誘う姿が増えます。5歳児は遊びのルールを自分たちで決めようとする姿が見られます。
6月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
梅雨に入る6月は、戸外遊びの時間が天候に左右されやすく、室内遊びの充実が課題になる時期です。手足口病など感染症が流行し始める時期でもあります。
ねらい文例(養護):
室内で過ごす時間が増える中でも、一人一人が体を動かせる機会を確保し、健康状態の変化に早めに気づけるようにする。
ねらい文例(教育):
雨の日ならではの製作や遊びに興味を持ち、友達と一緒に工夫しながら楽しむ。
配慮のポイント:室内での活動時間が長くなると、体を動かしたい気持ちを持て余す子が出てきます。ホールなどを使って体を動かす時間を意識的に確保することと、手洗い・うがいの習慣づけを、養護の欄に具体的に書いておくと、感染症流行期の見通しが立てやすくなります。
年齢別の姿:3歳児は保育者と一緒に手洗いの手順を確認しながら進めます。4歳児は雨の日の製作に自分なりの工夫を加えようとします。5歳児は友達と役割を分けて雨の日ならではの遊びを作り出そうとします。
7月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
本格的な暑さが始まる7月は、水遊びが活動の中心になる時期です。七夕の行事を通して、友達と一緒に願い事を考える姿も見られます。
ねらい文例(養護):
暑さによる体調の変化に留意し、水分補給や休息のタイミングを一人一人に合わせて確保する。
ねらい文例(教育):
水や氷などの感触を楽しみながら、友達と一緒に水遊びのルールを守って遊ぶことを覚える。
配慮のポイント:水遊びは学年によって水への慣れ方が違うため、同じ時間・同じ水量で一律に進めるのではなく、様子を見ながら段階を分けることが必要です。七夕の製作では、年長児が年下の学年に飾りの作り方を教える場面を意識的に作ると、協同性のねらいにもつながります。
年齢別の姿:3歳児は水に触れることそのものを楽しむ姿が中心です。4歳児は友達と水をかけ合って遊ぶ姿が増えます。5歳児は年下の学年に水遊びの遊び方を教える姿が見られます。
8月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
真夏の8月は、プールや水遊びが続く一方で、暑さによる体力の低下や夏バテが心配される時期です。生活リズムが崩れやすい時期でもあります。
ねらい文例(養護):
暑さで体力が低下しやすい時期であることを踏まえ、活動と休息のバランスを保育者が調整し、一人一人の体調変化に早く気づく。
ねらい文例(教育):
夏ならではの遊びを通して、友達と一緒に体を動かす心地よさを感じる。
配慮のポイント:8月は登園する子の人数や生活リズムにばらつきが出やすい時期です。長時間保育の中で、朝番・遅番の保育者が同じ配慮点を共有できるよう、体調面の申し送りを丁寧に行うことが欠かせません。
年齢別の姿:3歳児は暑さで機嫌が崩れやすく、休息のタイミングが必要になります。4歳児は水遊びの時間を自分から楽しみにする姿が見られます。5歳児は暑い中でも友達と遊びを続けようとする分、休息を促す声かけが必要です。
9月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
残暑が残りつつ少しずつ秋に近づく9月は、運動会に向けた活動が始まる時期です。夏の生活リズムの崩れを立て直す時期でもあります。
ねらい文例(養護):
夏の疲れが出やすい時期であることを踏まえ、一人一人の生活リズムを見ながら、無理のない範囲で活動量を整える。
ねらい文例(教育):
運動会に向けた活動に取り組む中で、友達と気持ちを合わせて体を動かす楽しさを感じる。
配慮のポイント:運動会の練習が始まる時期は、学年によって参加する種目や役割が変わります。年長児には係の仕事など役割を持たせる場面が増えるため、負担が大きくなりすぎないよう、練習と自由に遊ぶ時間のバランスを環境構成の欄に書いておくとよいです。
年齢別の姿:3歳児は運動会の雰囲気を楽しみながら参加する姿が中心です。4歳児は友達と動きを合わせようとする姿が見られます。5歳児は係や役割を任され、自分の仕事として取り組む姿が見られます。
10月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
気候が安定し活動範囲が広がる10月は、運動会本番を迎える時期です。衣替えの時期でもあり、活動に応じた服装の調整も必要になります。
ねらい文例(養護):
気温の変化に応じた衣服の調整を促しながら、活動後の休息の時間を十分に確保する。
ねらい文例(教育):
運動会という目標に向かって取り組んできた経験を通して、達成感や友達と分かち合う喜びを感じる。
配慮のポイント:運動会本番を終えたあとは、達成感がある一方で気持ちが緩みやすい時期でもあります。行事の振り返りを保育者から言葉にして伝え、次の活動への見通しにつなげることを、教育の欄に一言入れておくと反省が書きやすくなります。
年齢別の姿:3歳児は本番の雰囲気に緊張しながらも参加する姿が中心です。4歳児は練習で身につけた動きを本番でも発揮しようとします。5歳児は行事を通して得た達成感を、その後の遊びの中でも言葉にする姿が見られます。
11月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
気温が下がり始める11月は、感染症が流行し始める時期です。七五三など、成長を意識する行事もあります。
ねらい文例(養護):
気温の低下に伴う体調の変化に留意し、手洗い・うがいなど基本的な生活習慣を通して健康を保てるようにする。
ねらい文例(教育):
季節の変化に気づき、身近な自然や行事に興味を持ちながら、友達と一緒に活動を楽しむ。
配慮のポイント:感染症が流行し始める時期は、体調の変化を早期に発見することが特に重要です。登園時の視診や検温の記録を、養護の欄の「生命の保持」に具体的にひもづけておくと、家庭との連携もスムーズになります。
年齢別の姿:3歳児は気温の変化で機嫌が左右されやすく、様子の見守りが必要です。4歳児は自分で衣服を調整しようとする姿が見られます。5歳児は季節の変化や行事の由来に興味を持って質問してくる姿が増えます。
12月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
年末を迎える12月は、インフルエンザやノロウイルスなど感染症がピークを迎えやすい時期です。生活発表会に向けた活動や、大掃除など季節の行事も重なります。
ねらい文例(養護):
感染症が流行しやすい時期であることを踏まえ、体調の変化にいち早く気づき、無理のない生活リズムを保てるようにする。
ねらい文例(教育):
生活発表会に向けた活動を通して、友達と役割を分担しながら一つのものを作り上げる楽しさを感じる。
配慮のポイント:生活発表会の練習と感染症対策が重なる時期は、練習時間を詰め込みすぎないことが大切です。欠席者が出た場合の役割の調整方法をあらかじめ決めておくと、練習が中断しても保育者側が慌てずに対応できます。
年齢別の姿:3歳児は発表会の雰囲気を保育者と一緒に楽しむ姿が中心です。4歳児は自分の役割を覚えて取り組もうとします。5歳児は友達と話し合いながら役割を決め、練習を進めようとする姿が見られます。
1月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
正月明けの1月は、生活リズムを立て直す時期です。凧あげや書き初めなど、伝統的な行事にふれる機会もあります。空気が乾燥し、感染症対策が引き続き必要な時期でもあります。
ねらい文例(養護):
休み明けで生活リズムが崩れやすい時期であることを踏まえ、一人一人のペースに合わせて園生活のリズムを取り戻せるようにする。
ねらい文例(教育):
お正月にちなんだ伝統的な遊びや行事にふれ、友達と一緒に楽しみながら日本の文化に親しむ。
配慮のポイント:休み明けは、家庭での過ごし方によって生活リズムの崩れ方に個人差が出ます。登園を再開したばかりの数日は、活動量を控えめにし、様子を見ながら通常の生活リズムに戻していくことを環境構成の欄に書いておくとよいです。
年齢別の姿:3歳児は休み明けに保育者に甘える姿が増えることがあります。4歳児は書き初めや凧あげなど、初めての活動に興味を持って取り組みます。5歳児は伝統的な遊びのやり方を年下の学年に教えようとする姿が見られます。
2月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
寒さが厳しい2月は、豆まきなど季節の行事がある一方で、年長児は進級・就学への意識が高まる時期です。
ねらい文例(養護):
寒さによる体調の変化に留意しながら、一人一人が安心して活動に取り組める環境を整える。
ねらい文例(教育):
進級や就学を意識しながら、これまでの活動を振り返り、自分の成長を感じる。
配慮のポイント:年長児は就学への期待と不安を同時に抱える時期です。不安な気持ちを言葉にできる子ばかりではないため、遊びの中でさりげなく気持ちを聞く時間を、保育者の関わりの欄に具体的に書いておくとよいです。
年齢別の姿:3歳児は寒さで室内遊びを好む姿が増えます。4歳児は年長児の姿を見て、進級への期待を口にすることがあります。5歳児は就学への期待と不安を行き来しながら、就学に向けた活動に少しずつ取り組みます。
3月の月案文例(3〜5歳児(幼児クラス))
進級・卒園を控える3月は、1年間の育ちを振り返り、担任交代への配慮も必要になる時期です。
ねらい文例(養護):
1年間の生活の積み重ねを振り返りながら、進級や卒園に向けて安心して過ごせるようにする。
ねらい文例(教育):
1年間で育った自分の姿に気づき、進級や就学への期待を持ちながら友達と過ごす。
配慮のポイント:担任が代わる年度末は、子どもによっては不安が強く出ることがあります。新しい担任への引き継ぎ事項として、個別の配慮点をできるだけ具体的に書き残しておくことが、次の月案・次の担任への一番の贈り物になります。
年齢別の姿:3歳児は新しい学年やクラスへの期待を口にする一方、環境の変化に敏感になることもあります。4歳児は年長になる期待を持ちながら、これまでの担任との別れを意識し始めます。5歳児は卒園に向けて、これまでの友達関係やクラスでの経験を振り返る姿が見られます。
幼児クラスの月案がしんどいのはどの月か?
私にとって一番手が止まるのは、4月です。学年が上がったばかりで、去年のその子の姿と、今の学年に期待される育ちのどちらを基準にねらいを書けばいいのか、毎年迷います。もう一つは12月です。生活発表会の練習と感染症対策が重なり、養護と教育のどちらを優先して書けばいいのか判断に時間がかかります。
そういうときは、月案の様式を埋めることから考えるのをやめて、先に「この学年の子たちが今、実際にどんな姿を見せているか」を担任同士で言葉にする時間を作るようにしています。その一言メモが、結局は一番早くねらいにつながります。
この記事についてよくある質問
幼児クラス(3〜5歳児)の月案は、学年ごとに分けて書くべきですか?
クラスとしての月案は1つでも、ねらいや配慮の欄には学年ごとの育ちの差を反映させる必要があります。保育所保育指針では、3歳以上児は個の成長と協同的な活動が促されるよう配慮することが示されており、同じ活動でも学年によって重心が変わります。
3歳児・4歳児・5歳児で月案のねらいはどう変えればいいですか?
同じ活動でも、3歳児は保育者との関わりや個の興味を中心に、4歳児は友達との関わりが広がる姿を中心に、5歳児は役割分担や協同的な活動を中心にねらいを組み立てると書き分けやすくなります。
運動会や生活発表会の月の月案はどう書けばいいですか?
行事に向けた活動と日常の遊びのバランスを意識し、練習に偏りすぎないことを環境構成の欄に書いておくとよいです。行事後は達成感の振り返りを教育の欄に、体調管理を養護の欄に分けて書くと整理しやすくなります。
5歳児(年長)の3月の月案で気をつけることは何ですか?
就学や進級への期待と不安を同時に抱える時期であるため、1年間の育ちを振り返る視点と、新しい環境への安心感を支える視点の両方を月案に盛り込むことが大切です。
まとめ
幼児クラス(3〜5歳児)の月案で一番持ち帰ってほしいのは、同じ活動でも学年によってねらいの重心が変わるという視点です。まずは今のクラスの3学年それぞれが、直近でどんな姿を見せていたかを思い出すところから、今月の月案を書き始めてみてください。