1歳児の月案 文例集|4月〜3月の月別ねらい・養護・教育(2026年版)

2026年7月 ・ 読了14分

この記事は2026年7月時点の情報をもとにしています。

結論:1歳児の月案は「歩行の獲得と探索の広がり」を軸に、月ごとの安全確保と環境構成を書きます。養護は生活リズムと情緒の安定、教育は指先や体の動きの育ちを中心に据えると組み立てやすくなります。(2026年7月時点)

4月の月案の様式を前に、去年の1歳児クラスの月案をそのまま出していいのか、手が止まったことがあります。持ち上がりで担任した年でした。去年の子と今年の子は、歩ける子の割合も、指先の使い方も、まるで違う。それなのに去年の文言をなぞって出してしまい、主任から「この子たちは去年よりだいぶ歩けるようになってるよね」と言われて初めて、自分がクラスの今の姿を見ていなかったことに気づきました。月案の書き方の基本は別記事で扱われていますが、この記事では1歳児という年齢に絞って、4月から3月までの月別の文例と配慮のポイントをまとめます。

👩
保育士Aさん
「1歳児クラスって、4月と3月で歩ける子の数がぜんぜん違いますよね。月案のねらい、毎月同じ書き方でいいのか迷います」

その迷い方は自然だと思います。1歳児は1年間の中での育ちの幅がとても大きい年齢です。同じ「歩く」でも、4月はよちよち歩きだった子が、3月には走って追いかけっこをするようになる。月案は、その変化を月ごとに具体的に言葉にする作業でもあります。

1歳児の月案で押さえておきたい発達の特徴とは?

1歳児の月案を考えるとき、まず土台にしたいのが保育所保育指針が示す発達の姿です。指針には次のようにあります。

この時期においては、歩き始めから、歩く、走る、跳ぶなどへと、基本的な運動機能が次第に発達し、排泄せつの自立のための身体的機能も整うようになる。つまむ、めくるなどの指先の機能も発達し、食事、衣類の着脱なども、保育士等の援助の下で自分で行うようになる。

(出典:厚生労働省「保育所保育指針」1歳以上3歳未満児の保育に関する基本的事項

この一文だけでも、1歳児の月案に何を書けばいいかの輪郭が見えてきます。運動機能の育ち(歩く・走る・跳ぶ)、排泄の自立に向けた身体の準備、指先の育ち、食事や着脱の自分でしようとする姿。この4つは、そのまま月案の「教育」欄で扱う視点になります。

また、指針では養護と教育の「ねらい」「内容」を次の5領域としてまとめています。

保育の「ねらい」及び「内容」について、心身の健康に関する領域「健康」、人との関わりに関する領域「人間関係」、身近な環境との関わりに関する領域「環境」、言葉の獲得に関する領域「言葉」及び感性と表現に関する領域「表現」としてまとめ、示している。

(出典:厚生労働省「保育所保育指針」1歳以上3歳未満児の保育に関する基本的事項

1歳児の教育欄では、この5領域のうち特に「健康」(歩く・走る・跳ぶといった運動機能、排泄の自立に向けた準備)と「環境」(身の回りの物への興味)の割合が大きくなります。この記事は、一般的な月案の構成や書き方には触れず、1歳児という年齢に絞った月別の文例に特化します。以下、4月から3月まで、その月の姿に合わせた養護と教育の文例を1本ずつ紹介していきます。

4月の月案文例(1歳児)

進級・入園から間もない4月は、新しい保育者やクラスの子どもたちとの関係づくりが最優先になる時期です。新入園児は保護者と離れる不安から泣くことが多く、持ち上がりの子も担任が替わることで落ち着かない様子を見せます。歩行が安定していない子と、すでに歩き回れる子が同じクラスに混在するのも、この時期の1歳児クラスの特徴です。

ねらい文例(養護):

特定の保育者との関わりの中で安心感を持ち、泣いたり甘えたりする気持ちを受け止めてもらいながら、少しずつ園の生活に慣れていく。

ねらい文例(教育):

身近な玩具や保育者との触れ合い遊びに興味を持ち、安心できる環境の中で体を動かすことを楽しむ。

配慮のポイント:歩行が安定していない子には、はいはいや伝い歩きでも安全に探索できるよう、床に座って過ごせる場所を広めに確保しておきます。すでに歩ける子については、行動範囲が急に広がるため、コーナーごとに保育者の立ち位置を決めて死角を作らないようにすることが欠かせません。

5月の月案文例(1歳児)

気候が安定してくる5月は、戸外に出る時間を少しずつ増やせる時期です。園庭や散歩先で、歩く・しゃがむ・物を拾うといった動きが増え、指先を使う遊びへの興味も広がっていきます。

ねらい文例(養護):

戸外での活動が増える中で、汗や体温の変化に応じて衣服を調整してもらいながら、快適に過ごす。

ねらい文例(教育):

戸外で歩く、しゃがむ、物を拾うなどの動きを繰り返し楽しみながら、指先を使って砂や葉に触れる。

配慮のポイント:戸外での探索が増える時期は、口に入れると危険な小さな物(小石や落ちている物)への注意が特に必要になります。散歩前に経路の安全確認を行い、保育者間で「誰がどのエリアを見るか」をあらかじめ決めておくと、指先の探索を制限しすぎずに見守ることができます。

6月の月案文例(1歳児)

梅雨に入り戸外遊びが制限される6月は、室内遊びの充実が課題になる時期です。手足口病など感染症が増える時期でもあり、体調の変化への気配りが欠かせません。

ねらい文例(養護):

室内で過ごす時間が長くなる中でも、一人一人の生活リズムを保育者間で共有し、体調の変化に早く気づけるようにする。

ねらい文例(教育):

室内でも体を動かせる遊具や絵本、音の出る玩具に興味を持ち、保育者や友達と一緒に遊ぶことを楽しむ。

配慮のポイント:室内遊びが続くと、歩行が安定してきた子ほど体を動かしたがる時間帯が出てきます。マットやトンネルなど体を使えるコーナーを室内に用意し、静と動の遊びを時間で切り替えることで、限られた空間でも運動欲求を満たせるようにします。

7月の月案文例(1歳児)

暑さが本格化する7月は、水遊びが始まる時期です。1歳児にとっては水に触れる経験そのものが初めての子も多く、水温や量への配慮が欠かせません。

ねらい文例(養護):

暑さによる体調の変化に留意し、こまめな水分補給と休息を保育者が働きかけながら、快適に過ごせるようにする。

ねらい文例(教育):

水に触れる心地よさを感じながら、保育者と一緒に水遊びやシャワーを楽しむ。

配慮のポイント:水遊びは1歳児にとって初めての感触である場合が多く、無理に水に触れさせず、まず足元にかける程度から始めて様子を見ます。水を怖がる子には、たらいの外から見学する時間を用意し、無理強いしないことが情緒の安定につながります。

8月の月案文例(1歳児)

真夏の8月は、暑さによる体力の消耗が大きくなる時期です。水遊びは継続しつつ、活動と休息のバランスを取ることが月案の中心になります。

ねらい文例(養護):

暑さで体力を消耗しやすい時期であることを踏まえ、活動と休息のバランスに配慮し、一人一人のペースで過ごせるようにする。

ねらい文例(教育):

水や氷などの感触に興味を持ち、保育者と一緒にひんやりとした感覚を楽しむ。

配慮のポイント:8月は夏の疲れが出やすく、いつもより機嫌が悪い、食欲が落ちるといった小さな変化が見られることがあります。連絡帳や朝の受け入れ時に家庭での睡眠状況を確認し、午睡の時間を個別に調整できるようにしておきます。

9月の月案文例(1歳児)

残暑が続きつつも少しずつ秋に近づく9月は、活動範囲を戸外に戻していく時期です。夏の間に運動不足になっていた子もいるため、無理のない範囲で体を動かす機会を増やします。

ねらい文例(養護):

夏の疲れが残る時期であることを踏まえ、一人一人の生活リズムを立て直せるよう、睡眠と食事の様子を丁寧に見守る。

ねらい文例(教育):

戸外での活動を少しずつ再開し、歩く、走るなどの動きを保育者や友達と一緒に楽しむ。

配慮のポイント:3歳以上児クラスでは運動会に向けた活動が始まる時期ですが、1歳児クラスは運動会そのものへの参加は年齢的に見学や部分的な触れ合いが中心になります。上のクラスの様子を遠くから見る機会を設けることはできても、集団競技への参加を月案のねらいに据えることは避けます。

10月の月案文例(1歳児)

気候が安定し活動しやすくなる10月は、戸外での探索がさらに広がる時期です。歩行がしっかりしてきた子は、段差や坂道など少し変化のある地形にも挑戦できるようになります。

ねらい文例(養護):

気温の変化に応じて衣服の調整を行い、活動しやすい環境の中で快適に過ごせるようにする。

ねらい文例(教育):

戸外で段差や坂道など変化のある地形に興味を持ち、保育者に見守られながら体を使って挑戦しようとする。

配慮のポイント:段差への挑戦が増える時期は、転倒によるけがのリスクも上がります。危険を避けるために行動を制限しすぎるのではなく、保育者がすぐ手を添えられる位置取りをしたうえで、挑戦する姿を見守る関わりを月案の環境構成の欄に具体的に書いておくと、現場での判断がぶれにくくなります。

11月の月案文例(1歳児)

気温が下がり始める11月は、感染症が流行し始める時期でもあります。七五三など季節の行事に触れる機会もあり、指先を使った遊びや制作にも興味が広がります。

ねらい文例(養護):

気温の低下に伴う体調の変化に留意し、衣服の調整や室温管理を通して、一人一人が快適に過ごせるようにする。

ねらい文例(教育):

指先を使ってシールを貼ったり紙をちぎったりする遊びに興味を持ち、保育者と一緒に楽しむ。

配慮のポイント:感染症が流行し始める時期は、登園時の健康観察を丁寧に行い、いつもと違う様子(機嫌、鼻水、食欲)を保育者間で共有する仕組みが欠かせません。制作遊びでは誤飲を防ぐため、小さいシールや紙片は保育者の目の届く範囲でのみ使用します。

12月の月案文例(1歳児)

年末に向けてインフルエンザやノロウイルスなどの感染症がピークを迎える12月は、体調管理が月案の中心になります。生活発表会に向けた準備が始まる園もありますが、1歳児クラスは大がかりな出し物よりも、普段の遊びの延長で楽しめる内容にとどめることが多くなります。

ねらい文例(養護):

感染症が流行しやすい時期であることを踏まえ、手洗いや室内の換気を保育者が行いながら、一人一人の体調を丁寧に観察する。

ねらい文例(教育):

音楽に合わせて体を揺らしたり手を叩いたりする心地よさを、保育者や友達と一緒に感じる。

配慮のポイント:年末は大掃除など普段と違う環境の変化も重なりやすい時期です。おもちゃの配置が急に変わると1歳児は不安を感じることがあるため、大掃除の前後で普段よく使うお気に入りの玩具だけは変わらず手の届く場所に置いておくといった配慮が有効です。

1月の月案文例(1歳児)

正月明けの1月は、休み中に崩れた生活リズムを立て直す時期です。空気の乾燥が続くため、感染症対策も継続して必要になります。

ねらい文例(養護):

休み明けの生活リズムの変化に配慮し、家庭と連携しながら、一人一人のペースで園の生活リズムを取り戻せるようにする。

ねらい文例(教育):

正月の遊びに触れながら、保育者と一緒に体を動かしたり、簡単な手遊びを楽しんだりする。

配慮のポイント:休み明けは登園を嫌がる、機嫌が不安定になるといった姿が出やすい時期です。無理に集団の活動に誘わず、まずは特定の保育者との触れ合いから生活リズムを取り戻していくという順序を月案に明記しておくと、担任間で対応がそろいやすくなります。

2月の月案文例(1歳児)

1年で最も寒さが厳しくなる2月は、室内での過ごし方が中心になる時期です。豆まきなど季節の行事もあり、進級を意識し始める園もありますが、1歳児クラスでは進級への意識づけよりも、体調管理と室内遊びの充実が優先されます。

ねらい文例(養護):

寒さが厳しい時期であることを踏まえ、室温や湿度を保育者が管理しながら、快適に過ごせる環境を整える。

ねらい文例(教育):

音や声に反応して体を動かす遊びに興味を持ち、保育者と一緒に楽しい雰囲気を味わう。

配慮のポイント:豆まきなど大きな音や特別な雰囲気を伴う行事は、1歳児にとって驚きや不安の対象になることがあります。行事に参加させることを目的化せず、怖がる子は少し離れた場所から見守るという選択肢を保育者間で事前に共有しておきます。

3月の月案文例(1歳児)

1年間の育ちを振り返り、進級に向けた準備を進める3月は、担任交代への配慮も欠かせない時期です。歩行や指先の育ちなど、4月と比べて大きく変化した姿を月案に書き残しておくことが、次の担任への引き継ぎにもつながります。

ねらい文例(養護):

進級を控えた時期であることを踏まえ、これまで築いてきた保育者との関係を大切にしながら、安心して過ごせるようにする。

ねらい文例(教育):

1年間で経験してきた遊びを振り返りながら、保育者や友達と一緒に体を動かす楽しさを味わう。

配慮のポイント:進級直前は、新しい保育者やクラスへの不安から後追いが強まる子もいます。3月の月案には、次の担任に引き継ぐ「その子の落ち着く関わり方」を一言メモとして残しておくと、4月の受け入れがスムーズになります。

1歳児の月案、どうしても手が止まる月は?

私自身は、4月と12月に手が止まりやすいと感じます。4月は、その年の子どもたちの歩行や発語の個人差がまだつかみきれておらず、去年の文例をどこまで使い回していいのか判断がつかないからです。12月は、感染症対応や大掃除など普段と違う業務が重なり、月案に向き合う時間そのものが削られてしまうからです。

あくまで私の園での実感であり、他の園でも同じとは限りません。ただ、手が止まる月ほど、前月の記録を読み返す作業を後回しにしがちです。月案そのものの立て方から見直したいときは、月案の書き方の基本記事もあわせて参考にしてみてください。

この記事についてよくある質問

1歳児の月案でねらいが書きにくい時期はいつですか?

4月は歩行や発語の個人差がまだつかみきれず、去年の文例をどこまで参考にしていいか判断が難しい時期です。12月は感染症対応や大掃除など普段と違う業務が重なり、月案に向き合う時間そのものが削られやすくなります。

1歳児クラスは何月ごろから戸外遊びを増やせますか?

気候が安定する5月ごろから戸外での活動時間を増やしやすくなります。ただし歩行の安定度には個人差が大きいため、同じ月でも子どもごとに探索できる範囲を調整する必要があります。

1歳児の月案で「養護」と「教育」はどう書き分ければいいですか?

養護は生活リズムや情緒の安定など保育者が支える視点で書き、教育は保育所保育指針が示す運動機能や指先の育ちなど、子どもがどう育つかを視点として書きます。1歳児は特に「健康」と「環境」の領域の比重が大きくなります。

1歳児クラスは運動会にどう関わりますか?

1歳児クラスは、3歳以上児が主体となる運動会本番への集団競技参加ではなく、見学や部分的な触れ合いが中心になります。月案のねらいに集団競技への参加を据えることは、この年齢の発達の実態に即していません。

まとめ

1歳児の月案で最初に確認したいのは、その月の子どもたちがどこまで歩けるようになっているか、指先で何ができるようになっているかという、発達の実態です。同じ4月でも、去年のクラスと今年のクラスでは歩行の育ち方がまったく違います。今月の月案は、まず今のクラスの子どもたちの歩く姿、指先の動きを実際に見て確かめるところから始めてみてください。