0歳児 3月の月案 文例|前月の姿・ねらい・引き継ぎまで欄ごとに
この記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。
3月の月案は、2月のうちに書くことが多い書類です。
年度末の書類が重なる時期に、0歳児クラスの月案だけは他の年齢と事情が違います。
4月に入園した子はもう1歳を過ぎ、年度途中に入った子はまだ月齢が低い。同じクラスなのに、歩き回る子と、座って遊ぶ子が並んでいる。この差が1年で最も大きくなるのが3月です。
この記事では、月案の様式の欄の順に、3月の0歳児クラス用の文例を並べます。文例はそのまま写すためのものではなく、前月に実際に見た姿に合わせて直すための下書きとして使ってください。月案そのものの構成要素や書き方は、月案の書き方の記事で扱っています。
3月の0歳児クラスは、月案で何を見る月か
3月の月案で特に関わってくる点が3つあります。いずれも保育所保育指針に条文があります。
1つめ:担当の保育士が替わる場合の配慮
オ 担当の保育士が替わる場合には、子どものそれまでの生育歴や発達過程に留意し、職員間で協力して対応すること。
(出典:厚生労働省「保育所保育指針」 第2章1(3)オ)
指針に「進級」という言葉は出てきません。3月の月案で進級準備を書くときに根拠にできるのは、この「担当の保育士が替わる場合」の条文です。引き継ぎは4月の担任のためだけの作業ではなく、子どもの側の配慮として位置づけられています。
2つめ:3歳未満児は個別の計画
(ア) 3歳未満児については、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること。
(出典:厚生労働省「保育所保育指針」 第1章3(2)イ(ア))
保育所保育指針解説では、3歳未満児について「指導計画は、月ごとに個別の計画を立てることを基本としつつ、」と書かれています(こども家庭庁「保育所保育指針解説」 50ページ)。クラスの月案が1枚にまとまらないと感じるとき、それは書き方の問題ではなく、0歳児クラスがもともと個別の計画を前提にしているからです。
3つめ:教育の欄を3つの視点で書くか、5領域で書くか
指針は年齢で区分が変わります。乳児は3つの視点、1歳以上3歳未満児は5領域です。3月の0歳児クラスには、1歳を過ぎた子と1歳前の子が同じ部屋にいるため、どちらで書くか迷う欄です。
これについて、公式の文書に「0歳児クラスの3月はこちらで書く」という記述はありません。指針にも解説にも、クラス編成と年齢区分の関係を扱った箇所はありません(2026年9月時点、当サイトで指針本文と解説を確認した範囲)。解説に書かれているのは、連続しているということです。
保育に当たっては、これらの育ちはその後の「健康・人間関係・環境・言葉・表現」からなる保育のねらい及び内容における育ちにつながっていくものであることを意識することが重要である。
(出典:こども家庭庁「保育所保育指針解説」 99ページ)
同じ月齢や年齢の子どもの平均的、標準的な姿に合わせた保育をするのではなく、一人一人の発達過程を踏まえた上で、保育を展開する必要がある。
(出典:こども家庭庁「保育所保育指針解説」 292ページ)
この記事では、3つの視点を軸にしながら、月齢の高い子には次の5領域へのつながりが見える文例も併記します。これは解説をもとにした当サイトの読み方で、指針が求めている書き方ではありません。園で様式や書き方が決まっている場合は、そちらに合わせてください。
前月(2月)の子どもの姿 文例
月案はここから書き始めます。3月のねらいは、この欄に書いた姿から作ります。月齢でひとまとめにできない時期なので、高月齢と低月齢に分けて書いておくと、あとの欄がつながりやすくなります。
文例(月齢の高い子):
歩いて移動することが増え、保育者の後をついて部屋の中を行き来する姿が見られた。気に入った玩具を手に持ったまま、他の子のそばまで行くこともあった。
「どうぞ」「ちょうだい」のやり取りを、保育者の言葉に合わせて身振りで返す姿が見られるようになった。
文例(月齢の低い子):
つかまり立ちから、支えのある場所を伝って移動する姿が増えた。座って遊ぶ時間も長くなり、両手で玩具を持ち替える様子が見られた。
離乳食の形態が進み、スプーンを自分でつかもうとする場面が増えた。眠くなる時間帯は日によって差がある。
指針では、乳児期の発達について次のように書かれています。
乳児期の発達については、視覚、聴覚などの感覚や、座る、はう、歩くなどの運動機能が著しく発達し、特定の大人との応答的な関わりを通じて、情緒的な絆が形成されるといった特徴がある。
(出典:厚生労働省「保育所保育指針」 第2章1(1)ア)
3月のねらい 文例(養護・教育)
ねらいの欄は、前月の姿に対応させて書きます。文例を使うときも、前月の姿の欄に書いたことと言葉がつながっているかだけは確認してください。
ねらい文例(養護・生命の保持):
気温の変化や季節の変わり目による体調の変化に早く気づけるよう、一人一人の様子を観察しながら、健康に過ごせるようにする。
ねらい文例(養護・情緒の安定):
担任や保育室が替わることを見通しながら、慣れ親しんだ保育者との関わりの中で、安心して過ごせるようにする。
ねらい文例(教育・健やかに伸び伸びと育つ):
歩く、よじのぼるなど、その子なりの動きを十分に楽しみながら、体を動かす心地よさを味わう。
ねらい文例(教育・身近な人と気持ちが通じ合う):
保育者や周りの子どもとのやり取りの中で、身振りや喃語、言葉で自分の気持ちを伝えようとする。
ねらい文例(教育・身近なものと関わり感性が育つ):
春の日差しや風、戸外の草花など、身の回りのものに自分から関わろうとする。
3つの視点のねらいは、指針に次のように示されています。文例がどの視点に対応しているかを確かめるときの土台になります。
① 身体感覚が育ち、快適な環境に心地よさを感じる。② 伸び伸びと体を動かし、はう、歩くなどの運動をしようとする。③ 食事、睡眠等の生活のリズムの感覚が芽生える。
(出典:厚生労働省「保育所保育指針」 第2章1(2)ア「健やかに伸び伸びと育つ」のねらい)
月齢の高い子について、次の5領域につながる形で書く場合の文例も挙げておきます。前述のとおり、これは指針の要件ではありません。
身の回りのことに自分から手を伸ばし、できたことを保育者と一緒に喜ぶ。
指針の1歳以上3歳未満児の項には、次のように示されています。
つまむ、めくるなどの指先の機能も発達し、食事、衣類の着脱なども、保育士等の援助の下で自分で行うようになる。
(出典:厚生労働省「保育所保育指針」 第2章2(1)ア)
環境構成・保育者の配慮 文例
文例(進級に向けた環境):
1歳児クラスの保育室で短時間過ごす機会を設け、新しい部屋の玩具や動線に少しずつ触れられるようにする。慣れない様子が見られる子には、慣れ親しんだ保育者がそばにつく。
文例(動きの差に合わせた空間):
歩いて移動する子と、座って遊ぶ子が同じ空間にいることを踏まえ、マットや低い仕切りで遊びの場を分け、ぶつかりにくい配置にする。
文例(睡眠時の配慮):
午睡中は仰向けで眠れるようにし、呼吸や体の向き、顔色を定期的に確認して記録する。
睡眠中の事故防止については、国のガイドラインに次のように示されています。
医学的な理由で医師からうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、乳児の顔が見える仰向けに寝かせることが重要。
(出典:こども家庭庁「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン【施設・事業者向け】」 1ページ)
月齢差の書き分け 文例
クラスの欄に全員分は書けません。月齢で2つか3つのまとまりに分け、それぞれの配慮を1行ずつ書いておくと、個別の計画とも重なります。
文例(月齢の高い子):
自分でやりたい気持ちが出てきているため、着脱や食事の場面で待つ時間を確保し、できた部分を言葉にして返す。
文例(月齢の低い子):
生活リズムが日によって変わるため、午睡や授乳、離乳食の時間を一律にせず、その日の様子に合わせて調整する。
職員間の連携・引き継ぎ 文例
3月の職員連携の欄は、そのまま引き継ぎの下書きになります。書いておくと次の担任が困らない項目を、月案の段階で並べておくと二度手間が減ります。
文例:
一人一人の生活リズム、食事の形態と進み具合、眠るときの癖や好む関わり方、体調面で配慮している点を一覧にまとめ、次の担任と共有する。食物アレルギーのある子については、嘱託医等の指示を含めて引き継ぐ。
食物アレルギーへの対応は、指針にも示されています。
なお、食物アレルギーのある子どもへの対応については、嘱託医等の指示や協力の下に適切に対応すること。
(出典:厚生労働省「保育所保育指針」 第2章1(2)ア(ウ)②)
家庭との連携 文例
文例:
1年間の育ちを連絡帳や送迎時のやり取りで具体的に伝え、家庭と一緒に成長を確認する。進級後の生活の変化については、分かっている範囲を早めに伝え、不安の声には個別に応じる。
指針には、保護者支援について次のように示されています。
保護者が子どもの成長に気付き子育ての喜びを感じられるように努めること。
(出典:厚生労働省「保育所保育指針」 第4章1(1)イ)
食育・健康と安全 文例
文例(食事):
離乳の進み具合は一人一人違うため、家庭での食べ方を確認しながら、園での形態や量を調整する。手づかみで食べようとする姿を見守り、自分で食べる経験を重ねられるようにする。
3月だからといって全員の離乳が完了しているとは限りません。授乳・離乳の支援ガイドでは、離乳の完了の時期について次のように示されています。
その時期は生後12か月から18か月頃である。
(出典:こども家庭庁「授乳・離乳の支援ガイド」 31ページ)
文例(安全):
食事中は姿勢と口の中の様子を継続して確認する。口に入る大きさの玩具や部品は、子どもの手が届く場所に置かない。
特に食べている時には継続的に観察する。
(出典:こども家庭庁「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン【施設・事業者向け】」 3ページ)
反省・自己評価 文例
3月の反省欄は、1年の締めくくりと、次の担任への申し送りを兼ねます。
文例(できたこと):
担当を決めて関わることで、不安な場面でも特定の保育者を求めて落ち着く姿が増えた。1歳児クラスの部屋で過ごす時間を設けたことで、進級後の環境に少しずつ慣れることができた。
文例(課題が残ったこと):
月齢差が大きく、クラス全体の活動と個別の生活リズムの両立が難しい場面があった。次年度は、活動の時間帯をずらす方法を早い時期から試したい。
自己評価については、指針に次のように示されています。
(イ) 保育士等による自己評価に当たっては、子どもの活動内容やその結果だけでなく、子どもの心の育ちや意欲、取り組む過程などにも十分配慮するよう留意すること。
(出典:厚生労働省「保育所保育指針」 第1章3(4)ア(イ))
文例を使うときに直すところ
文例を土台にすること自体は、月案の書き方として問題ありません。ただし、前月の姿の欄と、ねらいの欄の対応関係だけは、そのクラスの子を見て書き直す必要があります。ここがずれていると、他の欄がどれだけ整っていても、計画として成り立ちません。
直し方の手順は、月案の書き方の記事にまとめています。
次は、1歳児クラスの4月
3月の月案を書き終えたら、次に手をつけるのは4月の計画です。進級後は5領域での記載に変わり、書き方の重心も移ります。
0歳児 3月の月案についてよくある質問
3月の0歳児クラスの教育欄は、3つの視点と5領域のどちらで書きますか?
どちらで書くかを定めた公式の記述はありません。園の様式が決まっている場合は、それに合わせます。
保育所保育指針は年齢で区分が変わり、乳児は3つの視点、1歳以上3歳未満児は5領域です。解説では、3つの視点の育ちが5領域の育ちにつながっていくものだと示されていますが(99ページ)、クラス編成と年齢区分の関係については書かれていません。
月齢差が大きくて、クラスの月案が1枚にまとまりません。
3歳未満児は、もともと一人一人の個別的な計画を作ることが指針に示されています。
指針第1章3(2)イ(ア)に「3歳未満児については、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること」とあります。クラスの欄には月齢で2つか3つに分けた配慮を書き、個別の内容は個人案に分けると整理しやすくなります。
月案の引き継ぎ欄には何を書けばいいですか?
生活リズム、食事の形態と進み具合、眠るときの癖、好む関わり方、体調やアレルギーの配慮が土台になります。
指針第2章1(3)オには「担当の保育士が替わる場合には、子どものそれまでの生育歴や発達過程に留意し、職員間で協力して対応すること」とあります。指針に「進級」の条文はなく、3月の引き継ぎはこの条文を根拠にできます。
まとめ
3月の0歳児クラスの月案は、月齢差が最も大きくなる時期の記録です。クラス全体で1枚にまとめようとすると手が止まりますが、月齢でいくつかに分けて書けば、そのまま個別の計画とも引き継ぎとも重なります。
まずは2月に見た姿を、月齢の高い子と低い子に分けて書き出すところから始めてみてください。